第7話 禁じられた遊び



1953年のフランス映画です。


映画でも小説でも、作品にメッセージを込めるという場合があると思う。


私が子供の頃は、色んな反戦映画を見た気がする。それほど、まだ大戦の記憶が人々の中に残っていたのだろう。


もし、「太陽がいっぱい」と同じ、ルネ・クレマン監督のこの「禁じられた遊び」という作品が、そうしたメッセージを込めて作られたものだとしたら、世界でも稀なほど、静かな、心に染み入る反戦映画だと思う。


あらすじはこうだ。


ドイツ軍の爆撃から逃れる時、両親を失ったポーレットという少女が、田舎の村のミッシェルという少年の家に引き取られ、毎日2人は死んだ虫や小動物の墓を作り、十字架を立てる遊びに熱中する。


ミッシェルの父親と隣家の父親との軋轢や、ミッシェルの兄の死など、いくつかの話が並行して進んでいくのだが、ある日丘の上に作られた兄の墓の十字架を、ミッシェルとポーレットは盗んで来てしまう。


翌日2人の憲兵がやって来たので、ミッシェルはてっきり十字架を盗んだことがバレたのだろうと思ったら、それはポーレットを孤児院に連れて行くためだった。


ミッシェルの哀願もむなしく、ポーレットは憲兵に連れ去られて行く。


途中、駅は避難する人々でごった返している。と、その時誰かが、ミッシェル、という名を呼ぶ。


ポーレットは急にミッシェルが恋しくなったのだろう、「ミッシェル、ミッシェル」と呼びながら雑踏の中に消えて行ってしまう。



こうして書いてみると、小説というのはどんなに頑張っても、やはり映画と異なるということを認めざるを得ない気がする。


それは音楽である。


誰もが知っていると言ってもいいこの主題曲だが、それが切々と映画のメッセージを訴えかけてくるような気がしてならない。


ベネチア映画祭ではグランプリを、米ではアカデミー外国語映画賞を受賞したそうだ。

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