失態⑤

頭がズキズキする。


昨日は変態達のせいでほとんど眠れなかった。

体が異常に覚醒していたからだ。興奮してるわけじゃないよ?


……まぁあの後しっかり写真は保存させて貰ったけど。ぐへへ。


「じゃなくて。変態移ってんぞ、俺」


自分にそう言い聞かせる。


二人がになってしまった今、俺はでいないといけない。


顔を引き締めて、気合を入れる。

俺は絶対に流されたりなんかしない。


そう誓ってベッドから起き上がり、身支度を開始した。




☆☆☆




家を出たところで、幼馴染が立っていた。


「おはよう、春香」


「ん。おはようまー君」


綺麗な茶髪を風に靡かせて、ニコッとしながら返される。


――こんな可愛い子が昨日あんな痴態を晒したんだな。


そう思うと胸がズキッと痛んだ。


でも俺はそれを隠しながら、春香の隣に並んで歩き出す。


「まー君?」


「ん?どうしたんだ?」


「酷いクマだよ……。寝れてないの?」


あなたのせいでな。


「ま、まぁちょっと考え事しててさ」


「そっそうなんだっ?」


赤面してぷいっとそっぽを向く春香。うん、なんでや?

俺別に変なこと言ってないよね?


「そっかそっか……」


「なんだよ急に」


「えへへ~」


もじもじしながら、ピュピュピュ~と吹けやしない口笛をする春香。


「じゃあねぇまー君」


「?」




「また送ってあげるよっ」




は?


えっちょ。


は?


俺が困惑の色を滲ませた瞳を送ると、春香はコホンと一つ咳払いをした。


「だって私が夕べ送った写真を見てドキドキムラムラしちゃったんでしょ?もう眠れなくなっちゃっうくらいに。そんなに喜んでくれるならもっとあげるよってこと」


なんだその暴論。言っちゃいないことばっかりだ。

確かにドキドキはしたけども。喜んではいない。


「絶対送らないでくれよ?」


「え~なんで?」


いや普通送らんからね?


「写真ダメなのか~……そんなら諦めるよ」


「あぁそうしてくれ」


あんなの毎日送られたら多分、理性が弾け飛ぶ。




「――生で見せつけるまでだから」




「へっ」とかいう間抜けな声を漏らしてから春香の方をみると、ニヤッと口端を釣り上げながら、スカートをたくし上げようとしていた。


「ふぁっや、やめろって春香!こんなところで――」


「へぇ~。ここじゃなかった良いんだっ?」


上目遣いにこちらを見つめて来る春香。

図らずとも少しドキッとしてしまう。


そして俺は思う。

――このままじゃばっちり流されてしまう。


「もっとしっかりしないと」


俺は春香に聞こえぬよう、小さくそう呟いた。










〈あとがき〉

なんとか四時投稿に間に合いました。しろきです。

いやぁ春香ちゃんグイグイ来ますねぇ~。これには正幸君もタジタジ。

……まぁ普通のラブコメだったらですけどね。


次回の更新は明日十時に投稿になります。もしかしたら四時になるかもですが。

一応真奈ちゃん回になる予定です。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る