〜本当の仲間〜

話を聞き終えた白命は早々に牢獄へと入れられた

牢獄はとても頑丈で見たことない技術が使われていた

テロの神様に対抗するために用意された

〝特別製の牢獄〟だそうだ

なんでもここでは力を無効化できるらしい

テロを捕まえるにはこれ以上ない代物である


そんな牢獄に捕まった白命はそれから3日間そこに放置された

そんなある日、1人の警備兵がその牢獄に訪れた

彼は無言のまま牢獄に近づくと牢獄の鍵を開け出るように告げる


白命は何が何だか分からないまま彼の言う通りに牢獄を出て、ふと足を止めた

〝まさか、、、テロの神様だった僕を死刑しようとしているのでは〟

そう頭をよぎったからである


しかしその考えは後ろから聞こえた言葉で搔き消える

「早くして下さい。時間がありません

言いたいことは後で聞きますから

とりあえず私についてきてください」

その言葉を聞きとりあえず彼についていくことにする

建物を知り尽くした様に抜け道を通り兵を避けながら、あっという間に組織の基地から脱出できた


久しぶりの外の空気に深呼吸しようとしたが

「すみません、時間ないのでついてきてください」

と言う声で強引に抜け出す

途中リスト教団の一員が合流する驚きもあった

移動の中でその者たちがリスト教団に紛れていた仲間だと聞く

どうやらかなり大きな組織らしい

結局何も分からないまま彼らに助けられた流れのまま、根城と思われる所についた


着いてすぐにその組織をまとめる幹部に囲まれ会議が始まる

「初めましてテロ、いや白命さん

私たちは謎の少年の声により集まった者です

ここにいるのは世界にいる、人を信じない人を集めて作った

唯一テロの言葉に逆らえる者たちの集団

とだけ伝えておきます」

と総指揮官らしき人が告げる


謎の少年、その心当たりが白命にはあった

あの〝テロ〟だろう

彼は初めて現れてからもたまに夢に出てきては、愚痴の様に止めるよう言っていた

本来、そこで止めておくべきだったのだろう

よくある〝後から悔いると書いて後悔する〟とはこのことだ


そういえば最近テロの姿を見ていなかった

なるほど、この団体組織を作るために動いていたのか

僕の力に対抗できる組織を、今となってはこの組織を作るまで、力に溺れていた自分が恥ずかしく感じた


そんな白命はその組織なら信じられると感じ声を出した

「こちらこそ初めまして

私はもとテロの神様をしてました白命と言います

この度、救っていただきありがとうございます」

まるで自分でないかのような、その堅苦しい言葉で挨拶をする

罪悪感、それがここまで人を変えられるのだと感じつつ

その流れで「実は話しておくことがあります…」と捕まっていた時に聞いた〝楽園計画〟の内容を伝えた


組織の人はその計画を聞いてしばらく意見を出して話し合っていた

話し合いが終わって結果的に、全員一致でリスト教団を止める事にまとまった


白命はそれを聞いて、この様な事態を巻き起こした原因が自分にもあるため、作戦に参加させて欲しいと告げる

しかし組織の人は

「能力を失ったお前に何ができるだ

足手まといだ」

と言い見捨てようとした


そんな横から1人の老人が出てくる

「そう焦って決めるでないよ

若い者は焦るからあかん

わしゃ、閃いたのだがそいつがテロの神様やってたやつなんだって」

と周りにいた1人の男に確認する

男がそうだと頷くと細い目を開き


「ならもしそいつが、そのテロの神様だった頃の力を取り戻したら、能力者全員を消し去る様に告げるだけで問題解決するのではないか」

と提案する


それを聞いた組織の中でその議案を話し合い

「それならばその方法も案に動こう

止める為にも失敗用の代案はいくらでも立てるべきだしな

そこの奴の力を取り戻し、能力者全員の能力を消す方法を、リスト教団殺戮計画と平行で進める。異論はないな」

と告げるとそこにいた全員が首を縦に振った

こうして白命はこの教団の一員として仲間に迎えられた


こうしてこれから起きる長い、リスト教団を止めるための計画

その仲間の1人として白命は〝絶対に止めてみせる〟決意を胸に歩み始めるのだった

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