文章の上手い人の脳はどうなってるか、推測してみる。

 ここからは先程の内容とは多少趣を異にするので、論旨が逸れてて読む甲斐ないなぁと感じたら、読むのをやめてもよろしい。



大半の人が小説を書く時、脳内に想像したシーンを文章化している。

 そして文章化するに当たって材料としているのは、読んだ小説なり映画なり、であろう。

 インプットした文章が、違う形になってアウトプットに用いられる。

 

 作者自身が小説を書いてみる身なので、こういった脳の動きは把握できている。

 しかしてシーンを文章化しようとする過程で、必ず通らなければならない行為が存在する。

 それは、記憶にある言葉から何を使うか、という選択だ。


 作者が考えるに、文章の上手い人というのは得てして、記憶にある言葉から何を使うか、という行為が人並みより上手い、のだと思う。


 そこで、何故言葉選びが上手いのかという疑問が生じるわけだが、その答えは記憶の構造にあると考える。


 例えば。Aさんが、驚きを含んだ声、という表現を読んだとしよう。

 Aさんは驚き、含んだ、声、と脳内で分解されてその様子を想像した。

 一方でBさん。

 Bさんは、驚きを含んだ声、を分解せずにその様子を想像した。

 ではAさんとBさん、どちらが文章を上手に書けるだろうか?


 答えは、Bさんである。


 なぜならBさんは、驚きを含んだ声、として覚えたが、Aさんは、驚き、含んだ、声、と分解した覚えたせいで、単語としての機能は果たせても、文章としての機能は果たせず、驚きをどうした声だっけ? とか、何を含んだ声だったっけ、と迷うことになる。


 要するに、文章の上手い人とそうでない人の差は、単語と単語の連結が強固かどうか、なのである。


 それじゃあ単語の連結が強くなるように読書すればいいのか、とすぐにカクヨム作品を読みに行かないで欲しい。

 文章の上手い人とそうでない人の違いは、もう一つある。


 唐突だが、今から造語を使った話をする。


 記憶というのは、表層記憶と深層記憶に大別されると思う。


 誰にも経験があるはずの、見たら思い出した、という現象。

 あの現象に名前があるのかどうか知らないが、見たら思い出した、というのは深層記憶が刺激された瞬間なのである。


 ここで、表層記憶と深層記憶の違いを簡単に説明すると、


表層記憶は、自力で手が届く記憶。

 深層記憶は、自力では手が届かない記憶、だ。


 あえて例えるなら、表層記憶が海面で、深層記憶が海中または海底となる。


 作者が考えるのは、もうお気づきの人もいるかも知れないが、文章の上手い人は表層記憶に大量の文章が常に漂っている、のである。

 だから、言葉を綴る時に、手が届く所に多くの選択肢があるから、大向こうを唸らせるような文章が綴れるのだと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る