第26話

 ――もう一度同じ場面になる。

 彼女が駐車場に立ち尽くしている。

 僕は微笑みながらゆっくりと彼女に近付く。

 僕の中に彼女の思考が入ってくる。


 ……殺されると思っているのか


 僕は彼女の思考へと入っていく。

『殺さないよ』

 そして優しく微笑みかける。

『君はいつも僕を見ていてくれた。大好きだと思ってくれていた』

 そして優しく口づけをする。


 ……あたたかいと思ってくれたんだね


『いつまでも一緒にいようね』


 ……君をずっと待っていたことを分かってくれたんだね


『さあ、行こう。永遠に覚めることのない夢の中へ』


 僕は指先に力を込めた。少しずつ、ゆっくりと。彼女の意識がなくなるまで、ゆっくりと……。


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