シスコンの俺が妹だけでなくその友達まで好きになってしまいました

蒼井青葉

日常

第1話 妹の友達に一目惚れしてしまいました

 俺の名前は卯月冬人うづきふゆと。俺には愛すべき妹がいる。


 「夏美!今日も最高に可愛いな!」


 「はいはい、わかったからさっさと支度したら」


 俺の愛すべき妹、世界で一番、いや宇宙で一番愛している妹の夏美なつみつややかな黒髪、長いまつげ、大きな瞳、いいにおいを体中からただよわせている。きれいだなぁ・・・眼福眼福。とか思いながら俺は朝飯を食べていた。


 「仕方ねぇ。さっさと済まして行く準備するか」


 皆さんお分かりの通り俺はシスコンである。そのため今までで恋人がいたためしがない。だぁって~妹が可愛すぎるんだもん。妹以外の女とか、ゴミムシ同然だ。俺の通ってる高校にもろくな女がいやしねぇ。まぁ要するに彼女いない歴=年齢のごく普通の男子高校生である。シスコンの時点で普通じゃないって?うるせぇ妹は空よりも高く、海よりも宇宙よりも広い存在なんだ。仕方ない。


 「はぁぁぁぁさっさと終わらねぇかな」


 高校では不快感マックスのオーラを出して生活しているので男だろうが女だろうが寄ってこない。友達~ZERO。


 そうして退屈な高校から家に帰って妹の姿を発見すると


 「なっつみぃ~たっだいま~」


 「お帰りお兄ちゃん。よしよし」

 

 愛すべき妹に飛びついて頭を撫でてもらうのだ。何だかんだで夏美も付き合ってくれる。優しいなぁ。うう、お兄ちゃん嬉しすぎるよ。


 スーパーウルトラデラックスな妹は家事もできる。親が共働きでなかなか家事ができないので、クレバーな妹が代わりにやってくれるのだ。


 「今日の料理も最高にうまいぜ、マイシスター!」


 「センキュー、マイブラザー!」


 そうしてハイタッチ。そんな生活が一億年、いや一千億年続くかと思われた。え、あなたも妹も死んでる?バカ野郎!俺と夏美の仲はたとえ死んでも、別の生物に生まれ変わっても永久に変わることなんてありえねぇんだよ!


 そう、思っていました。


 けれどある日。


「たっだいま~、夏美ぃ!」


「はいはい、お帰り。お兄ちゃん」


 いつもより対応が(アサヒスーパーじゃない)ドライな気がした。


「お兄ちゃん、そこらへん片付けて。友達くるから」


「なっ、何!友達だと」


 男なんか呼びやがった日にはそいつの目を潰して一生夏美の目を見られなくするつもりだったが


 「美冬ちゃんっていうの。最高に可愛いからうっかり惚れないでね」


 「ふっ、バカを言え。俺がお前以外に好きなやつができるとでも」


 「うれしいようなそうでもないような・・・まぁ、ありがと」


 夏美がちょっとデレながらそう答えた。ぐっ、破壊力63万。冬人は倒れた。夏美は63億の経験値をもらった。レベルアップ!俺が死んで夏美の可愛さに磨きがかかるならまぁいいや~。


 そうして夏美との最高の時間を過ごしていると


 ピンポーン


 玄関のインターホンが鳴った。


 「あっ、美冬ちゃん来た」


 夏美は玄関へと向かった。俺もその美冬ちゃんとやらが少し気になったのでゆっくりと後を追った。


 するとそこに現れたのは


 「遅くなっちゃた。ごめんね。夏美ちゃん。ん、そこにいるのは」


 「ああ、うん。うちのお兄ちゃん」


 「こんにちは、お兄さん。私は神楽坂美冬かぐらざかみふゆといいます」


 彼女、神楽坂美冬はシルクのようにキラキラとした長い銀髪に銀の瞳、雪のように真っ白で透き通るような肌の持ち主、さらには夏美と同じぐらい、いやそれ以上にいい匂いを漂わせていた。


 「な・・・なん・・・だと・・・」


 胸の鼓動が収まらない。呼吸が荒い。顔も心なしか赤くなってきている気がする。そんな、一生妹を幸せにすると誓ったはずのこの俺が、一目惚れ、だと!


 「だ、ダメだ。抑えられない。夏美、お兄ちゃん・・・・お前の友達に、一目惚れしてしまったみたいだ」

 「・・・・・・・・・・・・・・は?はぁぁぁぁぁ!?そんな!私のこと、一生幸せにしてくれるんじゃなかったの!?」


 波乱の予感しかしなかった。

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