第2話 繋がらない電話

羽鳥沙穂。

高校生らしいが.....年齢は16歳。

そして.....高校二年生で。

唐突に一人暮らしの25歳のオッサンの俺の家にやって来た。


その理由としては.....俺の実家の火事でやって来たという。

実家の火事で何で俺の家に美少女がやって来るのだ。

思いながら.....理由を聞こうとクソ親にスマホで電話を掛けるが.....連絡は無い。

俺は盛大に溜息を吐く。


そして羽鳥さんの背中を見た。

あのクソ親.....俺を借金まみれにした.....ヤツども。

恨んでも恨み切れないレベルのクソ親。

こんなに電話に出ないと逆に腹立たしいな。

そう思っていると.....羽鳥さんが何かを持ってこっちに来た。


「.....長谷場さん。お料理が出来ました」


「.....これは.....オムレツ?」


「.....ですね。でも擬きです」


苦笑いを浮かべる羽鳥さん。

この家は男の家だ。

つまり.....食材があまり無い筈なのにこんな料理を作れるのは凄いな.....。

なんて言っている場合か。

俺はスマホを置きながら羽鳥さんに向く。


「.....羽鳥さん。実家の火事って何が起こったんだ?」


「.....簡単に言えば.....放火らしいとされています。金銭トラブルで」


「.....どこまで行ってもクズはクズだな.....」


俺は額に手を添える。

つうかまた金銭面かよ。

あのクソ親、やっぱり金銭管理が全然駄目だな。

それで放火されたと。

じゃあもう完全に俺の親が悪い。


「.....でも.....長谷場さんも悪いですけど.....放火する方も悪いですよね」


「.....8割がた、こっちが悪いけどな。.....何だか知らないけど.....迷惑を掛けたな。君に」


「私は.....大丈夫ですよ」


「.....いや、そう言えど.....九州からやって来たんだろ?じゃあそれなりだろ」


はい。

でも.....信頼出来る人の元へ行ける。

それは.....嬉しかったです。

だから全くキツく無いですよ。

と羽鳥さんは言う。


「.....となるとマジに帰れないのな」


「.....ですね。頼る所も.....無いんで.....」


「.....分かった。じゃあ暫く居ても良いけど.....。.....ただ俺の部屋で住めるか?」


「.....ご迷惑をお掛けしますから.....住まいなんて寝れない場所じゃ無かったら何でも良いです」


あ、それはそうと冷めてしまいますから。

とニコッと俺には鳥さんは笑んだ。

俺は、ああ。そうだな.....、とオムレツを見る。

しかし旨そうな感じで半熟になってんな。


「.....卵が有りましたけど.....肉は無かったので中身は魚肉ソーセージです」


「.....マジかよ。スゲェな.....」


「はい。食べてみて下さい。お口に合うかどうか」


俺は言われてスプーンで食べてみる。

ちゃんとした.....オムレツだった。

味としては.....魚肉ソーセージの味がして.....美味しい。


凄いなこれ。

羽鳥さんを見ると羽鳥さんは髪を下ろしていた。

その際にワキがチラッと見えて俺は慌てて目を逸らす。


「それと.....私の名前は沙穂で良いですよ。年下なんですから」


「.....そうか?じゃあ.....沙穂」


「.....はい。小五郎さん」


「.....何だか恥ずいんだが」


そんな事言わないで下さい。

私も恥ずかしいんですから、名前で呼ぶの。

と赤面しながら.....沙穂は言う。

そして沙穂は.....胸元をパタパタさせた。


「.....えっと.....あはは。少しだけ汗をかいちゃいました。オムレツが熱かったもので.....」


「.....ああ。じゃあシャワー浴びな」


「え?そんなご迷惑じゃ.....」


「.....ご迷惑ってお前.....女の子だろ。汗臭いの嫌だろ」


ここはお前の家だからな。

と俺は口角を少しだけ上げる。

沙穂は目をパチクリして、じゃ。じゃあ.....借ります、と沙穂は話す。

俺は、おう、と言いながら案内した。


「.....それはそうと.....服有るのか」


「有ります。着替え、持って来ました」


「.....あの親でも着替え買ってくれたんだな」


「.....はい」


奥に有ったバッグの中には綺麗な感じの服が多く入っている。

これを高校生が買えるとは思わない。

だから.....あのクズ親が買ったんだと思う。

俺は.....思いながら着替えを用意する沙穂を見る。


「じゃあ借りて.....良いですか」


「.....おう。きったねぇ風呂だけどな」


「全然構わないです。私、お風呂に入れるだけでも.....嬉しいです」


「.....」


そうして風呂に嬉しそうに入って行った沙穂。

俺はそれを.....見送る。

それから.....俺はまた眉を顰めて親に電話を掛けた。

特製オムレツを食いながら、だ。


しかし相変わらず音沙汰は.....無い。

クソったれめ.....マジにムカつくな.....こんなに電話してんのに。

絶対に許さん。

本気で頭に来るな。


「.....無責任さは変わってねぇな。.....駄目クソ親が」


そしてバンッと思いっきり折りたたんでいる布団にスマホを叩き付けた。

それから.....布団に横になる。

6畳しか無い部屋なのでベッドは置けないのだ。

明日には繋がれば良いが。

取り敢えず文句とか言いたい事が山々だ。


「.....」


沙穂.....か。

良い子だと思う。

なんで俺の親と一緒なのかさっぱり分からんが。


思いながら.....俺は起き上がって外を見る。

ここのアパートからの外は.....ビルの群れが遠くに見える。

そうだな.....まるで.....悪の蔓延る摩天楼の様な、だ。


「.....チッ.....」


舌打ちして.....カーテンを閉める。

この腐った世界を見渡している気がして仕方が無い。

思いながら.....スマホを見た。

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