第7話 鼓膜破れるって

「空くん……やっぱり整形したの……?」


「んな、失礼な!?」


今は昼休み。

学食で菜緒里と一緒にご飯を食べていた。


いつも小柳さんと一緒に食べているのだが、俺が劇的ビフォーアフターする前は毎度の如く、周りには『なんで聖女様があんな奴と……』という奴らや、『やっぱり弱みを握って脅してるんじゃ…』とかあられもない容疑を疑われる事もあった。


なんでだよ……確かに小柳さんは可愛いけどなんで俺がそんな事を言われなきゃいかんのさ……


でも不思議だよね。本当に。


今では周りから、『やっとキモオタが離れたか』とか『美男美女のカップルって絵になるわ〜』やら『聖女様にあんな彼氏が……く、諦めざる負えんか…』とか………


桜も同じような事になったけどなんで!?

やっぱりイケメンだからか!?


所詮、人間は顔で決まるのか!?


「はぁ……視線が痛い。」


「た、確かに……いつもよりすごく見られてるね…

ははは……」


こんな他愛のない事を話しているとバタバタと誰かがこっちに走ってくる。


カメラ片手に。


「どーもー!!新聞部で〜す!

初めまして、聖女様の彼氏さん!!」


このカメラ片手に元気に挨拶してきたのは新聞部の七条菜々美しちじょうななみさん。学園新聞の取材担当である彼女は、なにか大きなスクープの情報を見つけると、すぐに行動に移す活発な人である。


なんでこんなにこの学校は美人さんが多いんだろうか。小柳さんも可愛いが、七条さんも美人である。


「なっ………別にこの人は彼氏じゃなくて……」


「ほほう。ですか……なるほどなるほど…」


「あ、その……そういう訳じゃ……」


どうやら今回は俺たちがスクープらしい。

それにしても赤くなっている小柳さん……


とても可愛いです。


「では聖女様のご友人さん。あなたは何年生ですか?」


「2年生です。」


まぁ少しぐらいの取材は受け付けるか…

別に大した事にはならんだろ。


「聖女様と同学年……では何組でしょう?」


「3組です。」


「お、これまた聖女様と同じクラス……もしかして転校生ですか?」


「いえ、ちゃんと1年生からこの学校にいますよ?」


「え?」


どうした?これぐらいは全然当たり前だろう。

なんでそんな驚いた顔をしているんだ?


「……私が知っている人でこんなイケメンはいない……でも転校生でもない……聖女様と一緒にお昼ご飯を食べている……」


何やらブツブツと何かを言っているがほんとにどうしたんだろう……

なんだがこっちまで緊張してきたぞ……


「………すみません。お名前を伺っても?」


「折本空ですが?」


「え?」


マジでどうした。そんな目をパチパチして。

ドライアイか?それに、周りがやけに静かになったな。さっきもこんなことがあったような……



…………やべ、嫌な予感がする。


「小柳さん、耳を塞いで。」


「え?」


彼女がキョトンとした表情でこっちを見る。

すげー可愛いけど早く耳を塞いで!!


「「「「「「「「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」



小柳さんが耳を塞いでなかったので咄嗟に俺が小柳さんの耳を塞いだ。


自分の耳は大惨事になったがな。


やべぇマジで耳が痛い。鼓膜破れてないよな……


こんな声出せるなら行事のときはもっと声出せよ。

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