第7話激突!家族たち!②

 その頃、葛城と晴人は葛城の家にいた。

「どうぞ、ごゆっくりしてください。」


「はっはい…」


 晴人は1つ疑念をこの女に対して抱えていた。

 どうしてここまでシャロンに心酔しているのかが分からないのだ。

 出会ってから数日程度しか帰ってる最中の話を聞く限り捉えられないが、

 異世界からきた得体の知れない人物だぞ?。

 俺は無一文だから行く宛てもなかったから仕方なくシャロンの約束守ってきたものの、シャロンもこの女も不気味だ。えらく馴れ馴れしい様子だし。

 後それから緊張していたのか知らないが名前も2人になってからこいつは名乗った。

 俺に猜疑心があるならシャロンの目の前で言ってただろうし、あまり気にしないでおくが…。


「お手洗いはこちらです。」


「あっはい了解です」


「こちらが居間です。」


「あっはいっーす。」


 次々と部屋の紹介をしてくれたがやはり緊張している様子だ。声が若干強ばっている。


「居間くらしか貴殿が寝られる空間はないので悪しからず。」


「まあ毛布さえあれば十分ですよ。」


「ところでシャロンに関してだが、なぜ彼女にそんなに心酔しているんだ?」


 晴人はどストレートに疑問をぶつけた。


「彼女は私に希望をくれました。私は元々左目の視力が弱く光を認識するくらいさか出来なかった。また右足は麻痺していて、上手く動かせなかった。だから左足に体重をかけて歩いてましたがこれも負荷がすごくてとても辛かった。また軽度のADHDや強迫性障害を抱えていました。普通に生きていくだけでも障害があまりに多すぎた。そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのが彼女でした。竜人に変身させれるよ。そしたらそんな障害全部無くすことができると。ただし、8割の確率で成功し、2割の確率で失敗すると。失敗した場合は体が蒸発すると言われましたが、私は成功するのに賭けました。障害なしで生きてみたかった意思が何よりも強かったから。だから彼女に竜人にして欲しいとお願いした。その結果今がある。

 ドラゴニックアーツとして触れたものの大きさを自在に操ることと、自分より低級の者の脳をコントロールすることと、他言語読解能力の3個もちで、2,3個もちで創りあげられる個体はレアであると仰っていました。こうして新たな人生いや竜人だけど新たな生活を始めることができて希望をもてました。だから彼女には感謝しています。」


「そうかそうか。なるほどな。てか俺には2割で失敗するリスクとか言わなかったんだけど…俺に目をつけた理由ってなんだ?単純に今の日々が退屈だからとしか言ってなかったからその程度の人間と思われていたということか?」


「真実はシャロン様と神のみぞ知る…よ。知らない方がいい事実もあります。」


 葛城は腰を落とした。晴人は椅子に腰かけた。

「まあ、ひとつ疑念は解けたし、明後日に向けて調整しますか。」


「そうですね。こんな時間ですし。お風呂に行きましょう」


「そうするか。それじゃお先にどうぞ。俺はしばらくここにいる。」


「お先に失礼いたします。」


葛城は虚をつかれた思いをした。思えば自分自身シャロン様といいつつ、会って間もないのにここまで心酔しているのは冷静に考えればおかしいかもしれない。しかし、彼女に感謝するのは私の勝手だ。


そう思い直して気を取り直すと、風呂場へ足を運んだ。


 2人はそうやって夜を過ごした。


 朝。


 アグノは散歩していた。もちろんあの公園である。


「ここからそう遠くには行ってないんじゃないかなぁ。ここの草むらの向こうは川。右手には陸橋。左手は巨大な砂場がある。その向こうには住宅街。潜伏してるならこの住宅街だろうが、ひとつひとつ虱潰しにあたる時間もない。だから俺がこうして姿を見せておけば勝手によってくると思っているが悪いと思うか?」


【待ち戦法かぁ。まあいいんじゃない?あなたというか私を餌にして誘き寄せるのもいいと思うよ。というか現状炙り出す手段なんてそれくらいしかないよね。】


 ひたすらベンチに座って待った。ただ時間が虚しくも過ぎていっただけだった。。。


 とある街角。

 ビルとビルと合間の空間にとある人物が腰掛けていた。ブツブツと呟いていた。

「これでいいんだ。こうして平行世界を飛び回りありとあらゆる因果を自らに括り付けることで、膨大なエネルギーとして己と空間に刻み込み、神をも凌駕する存在えと進化するのだ。いや進歩するのだ。そして宇宙の理そのものを一新するのだ!。」咳き込んで彼は喋るのをやめた。


 そこから表にでたところの一通りの多い国道沿い。

 ここにとある少女がいた。15歳ほどであろうか。

 彼女は今日も冴えないかつ辛い日々を送っていた。

 彼女は両耳が聞こえない。

 視覚を頼りに歩く他ない。

 西野紅音である。

 13歳の時から病気で耳が聞こえづらくなり、14歳の時に完全に聞こえなくなった。

 彼女は音楽を愛していたが、一切の外界の音と遮断された生活がただ苦しかった。

 横断歩道を彼女は渡りきった。


 するとどこから現われたのか彼女の目の前に20歳と思われる妖艶な美女が姿を現した。

 すると彼女は紅音に対してなんと声をかけたのだ!


【あなた両耳聞こえないのでは?】


【えっ聞こえないはずの声が聞こえてる?】


【私はあなたの心の中に対して問いかけているのです。】


【うそっそんなことできるわけがない。。。一体あなたは何者なの?】


【私は第792の世界からこちらの世界にきた。旅人ですよ。元々は王女でしたがね。あなたが望むというなら竜人にしてさしあげます。そして私の〔家族〕に加えようと思っております。8割の確率でしか成功しませんが、代わりにあなたが抱えている障害全てを取り除きましょう。】


【そんなことできるならもちろん望むよ?けどできるわけないよね?。】


【創造】


 女の首筋から白い龍が飛び出してきて紅音の首筋を噛んだ…


「さぁ、あなたの体が今試されます」


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