罪の女の歌は讃美歌♪ 木陰や波間、あらゆる所で彼女を称えよう☆

青い空、青い海、白い砂浜。振り返れば、彩り豊かな配色で並び立つ家々……しかしその奥では、内戦で疲弊した人々が生き抜くために選んだ裏社会や、国の裏資金ともなっているコカ畑が広がっている世界。カリブ海に面したそんな一国を拾い上げ、そこで繰り広げられる抗争と恋模様をデスパシート(ゆっくりと)に綴った珠玉の小説です。

お国柄なのでしょうか、男どもは「後悔」という言葉を知らないかのように自分の決めた意思に従い邁進していき、逆に女たちは「後悔しない」ように色々な考えを巡らし、間違った選択だとしても「それが正しい」と自分に言い聞かせて勇気を振りしぼっていく……その対比が、とても印象に残りました。抗争の中で展開する心理戦や銃撃戦の面白さは折り紙付きですが、個人的には女性たちが自制心と葛藤する様々なシーンにグッと心を持っていかれました。作者さまの感性豊かな描写力の虜になること間違いないでしょう☆

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