魔剣の継承者 レオン 

シジョウハムロ

プロローグ

「あいつだ!あいつが俺たちのパーティーのリーダーを殺したんだ!!」


―――違う!そんなことはありえない!


 そう叫びたかった。だから口を開いた。


「全員耳をふさげぇ!【命令】を使おうとしているぞぉ!!」


―――あの人を殺したのは、お前達だろうが!!


 けれども、糾弾の声は出なかった。出せなかった。


「あの人に何の恨みがあったんだ!」


「どうせ自分勝手な理由だろう!」


 きっと、この場に俺の言葉を聞いてくれる人なんていないのだろう。

 こんな【命令】持ちきらわれものの声なんて誰にも届かないのだろう。


「人殺しめ!」


「お前みたいな奴がこの町にいるんじゃねえ!」


 そう思うと、面倒になって、馬鹿馬鹿しくなって、


「この町から出て行け!」


「出て行け!」


「出て行け!!」


「「「出て行け!!!」」」


 だから、逃げ出すように町を後にした。

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