ふゆごもり

冬も深まり今年も厳しい冬を超えるため私はその日もいろいろと準備をしていた。

冬を越せるだけの薪の準備、秋に収穫した果物をジャムにしたり、山菜の塩漬けや漬物を作ったりと毎年、この時期になると慌ただしく毎日が過ぎて気づいたら正月を迎えている。

数年前からひとり山奥の別荘を管理しているが来た当初は失敗続きだった。

そのたびに失敗を乗り越えまた、山々の美しい季節を眺めていくうちにここで暮らすのも悪くないと思えるようになった。

ひとりで山奥の別荘を管理するのももう慣れたが時々、予期せぬ来客が訪れることもある。


警察を名乗る2人連れがやってきたのは雪が降る寒い昼下がりであった。

なんでも数日前から強盗犯がこの山へ逃げ込んでおり足跡がこの近くで消えているので確認のため訪ねてきたという。

雪の降り始めた山に汚れてない革靴で来た2人に

知らないと告げ扉を閉めようとするが山奥のひとり暮らしでは物騒だろうとあれこれ話題を変えては話を伸ばそうとするので、本当に強盗犯は知らないと丁重にお引き取りいただいた。


はぁ、強盗犯なんて知らない。ただ…


地下の食料庫へ下りると罠で捕まえた兎や猪の隣に血抜きの終わった肉塊がぶら下がっていた。

あの2人、諦めてくれるといいけど。

私は肉塊が命乞いする時に見せた鞄の中身を思い出し小さく溜息をついた。


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