6話 フランゼ王国の実情

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フランゼ王国 東ケルン城 午前9時00分54秒

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石造りの王の間だからだろうか。


何処か肌寒くも感じる。


いや、しかしだ。何とも素晴らしいじゃないか。


テンプレートな貫禄を漂わせる王様。


隣には彼の娘と思われる若干16歳程の育ちのよさそうな美少女まで。


学生だったころ憧れていた異世界召喚物、正しくそれではないか!


ラノベの世界と思っていた事が実際に起こるなど誰でも1度は夢見たであろう。


そんな妄想が、今しがた俺を取り巻く現実として展開しているのだから


感動せずにはいられまい。


そう言えば俺の隣にリリーヤ・ブルジアちゃんはいるが、いつの間にか赤いミニクーパーは無くなっていた




しばらくの沈黙がこの場を満たす中、カロルド・フォン・フランゼ王国は語りだした。




「さて、初めに事の事情を説明せねばいかんのう。今、我が王国はバラバラに分裂しているのじゃ。」




話しを要約するとこうだ。


事の要因は先代王アルトリア・フランゼ6世が崩御した後に国内で発生したクーデターに遡る。


王の息子として後継者になるはずだったアルトリア・フランゼ7世が、当時宰相だったドン・ゴラルギアの手によって暗殺。


直後先代国王の義理の弟ロッドウェルがロッドウェル・フランゼ8世として即位を宣言。


更に彼はドン・ゴラルギア宰相を私邸に保護し数日後にはドン・ゴラルギア宰相を執政官に任命。


そして全権をドン・ゴラルギア執政官に委託してしまったのだ。




「ロッドウェル・フランゼ8世はドン・ゴラルギア執政官と裏で結託してクーデターを起こし、まんまと王国を乗っ取ってしまったと言う訳じゃ。」




その後ドン・ゴラルギア執政官の命令によって最高評議会は解散、よってドン・ゴラルギア執政官による独裁政権が発足した。



しかし、彼の恐怖政治は各地地方貴族から多大な反感を買う事となる。


カロルド・フォン・フランゼ国王を含め、多数の貴族が国内のあちこちで自分こそ正当なフランゼ王であると言い出し独立。




その様にして広大だったフランゼ王国はバラバラに分裂、今に至ると言う。




「では、陛下は"自称"フランゼ国王と言う訳でありますか?」



「ふん…耳が痛いがそう言う事じゃ。おぬし、物分かりが早いのう。」



「お褒めに預り光栄の至りです。では、陛下は国内を御自身が統一されるべく、俺をそこのリリーヤ・ブルジアちゃんに召喚させたのでしょうか?」



「いや、ちとそれは違うのう。わしはおぬしの召喚を誰にも要請しておらん。」



「では、一体何故?」



「神じゃよ。」


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