第6話【悲しみの果てへ〜新たなる旅〜】

「1年間おつかれ」

伊吹さんは修行の終わりを祝福した

この森で修行を初めて1年間乗り越えたのは2人だけだそうだ

確かにあのキツイトレーニングで投げ出さない方がおかしい気がする

僕はワタと一緒に居たから乗り越えられた。ただそれだけでワタはどうかは分からない

「今夜は思いっきり食え」

そう言うと伊吹さんは網の上で焼いていた長い肉のような物を出す

「これは……食べれませんよ! 」

ワタが驚き、食べる事を拒否しようとしている

「なんですか? これ? 」

見たことない食べ物だったから2人に聞いてみた

「これは……鰻だ……」

とさりげなくワタが教えてくれて驚く

鰻? ! あの高級食材じゃないか

この辺は海も川もがないから取るのもすごく大変な魚なのに。

そもそも、この辺だと……魚自体が高級食材……

「まさか……他の切り身も……」

ワタは恐る恐る聞いている

「魚だ。」

伊吹さんはサラッと言うが2人はとても戸惑いを隠せない

「何故ですか? 」

2人は声を合わせて質問をする

伊吹さんは笑いながら答えた

「お前らが1年間乗りきったからそのご褒美だ。遠慮せずにどんどん食え食え」

最初は遠慮をして食べなかったが、伊吹さんの強い押しがあって2人は魚料理を堪能したのだった

「お前らはここを出たらどうするんだ?」

伊吹さんは今後のことが少し気になり聞いた

「とりあえず……俺はこの国を乗っ取ることにした。1年間考えたんだ。やっぱりあのクソ親父に政権を握らせるのは違う。だから変えられる人が変えないといけない。そう思ったんだ。青臭いかもしれないけどこれが俺の決意だ」

ワタらしい理由

「ヨルナミはどうする?」

僕は特には決めていなかったけどワタについて行く事にした。ワタといると安心出来るし、そっちの方がいいかもしれない

「ワタについて行くよ。まだまだ優柔不断な僕だけど、2人で居たらなんだかんだ行けると思う。この1年も2人だから乗り越えられた。二人でいるとなんでも出来る気がするから」

伊吹さんは2人の決意が聞けて少し安心したようで、

「それなら、明日街に出るがいい。流石にほとぼりは冷めてると思う。」

2人は伊吹さんの意見は間違っていない気がしたのでとりあえず従うことにした

「そういや、ヨルナミ。1年前から気になってたんだけど、これはなんだ?」

といい、伊吹は自分の部屋からヨルナミの楽器を持ってきて渡しす

1年前、流石に危険だと思ったヨルナミが伊吹さんにこっそり渡したのもだった

「これは……」

伊吹さんに使い方を説明してみたら

「名前は?」

伊吹さんは名前を聞く

「まだ決まってないです」

「そうか。」

適当に流されたが、その後伊吹さんは必死に考えていた様子だった

深く考えていたのか、言っても返事はしなかった

その後、明日は速くから出ろと伊吹さんに言われたので2人は眠りに着いた

2人が寝静まった頃

暗闇の中、伊吹は少しした気配に気付いた

「おお、そんな所に居たのか」

伊吹は窓の隅に隠れていた女の人に声を掛けてた

「先程こっそりと忍び込みましたわ」

「そうか、でいつから居たのだ?」

「ヨルナミくんが持っていた物の下りの所からですわね」

「そんな所から居たのか。全く気づかなかった」

伊吹は少し笑いながら答える

「いつ頃帰ってきますか? 」

「えーとな、2人が街に出たら帰ろうと思う」

「そうですか! なら、待っております」

女性は嬉しそうに答える

「帰ったら……結婚式上げよう」

照れながら伊吹は言う

「きゃっ……」

女性は顔を赤らめる

2人は付き合っていたが未だに結婚ができておらず伊吹のする事が落ち着いたから上げようと言っていたのだった

そして、遂に……といったのだった

「とりあえず、近い内に帰るからな」

「はい、待っておりますわ」

といい、女性は嬉しそうに闇の中に消えていった


翌日の三時課頃

伊吹さんは2人に少しの食料を渡す

いつも練習の時に持たせてくれたすごく美味しいパンだった

「ヨルナミ、ワタ。帰って来たらここに住め。吾輩は隣町に行くから、この家は空ける。お主たちもここは住み慣れたから住みやすいだろう」

この家か。でも、何故だろう

「どうしてですか?」

と聞いてみると

「いや……そのうち分かるわ」

どういう事だろう……

そう思っていたら伊吹さんが

「ほらほら、街にいけ」

といい、2人を家から出す

二人を見送ったあと

「よし、帰る準備でもするか」

そう思い、伊吹さんは荷造りを始めた

荷造りを初めて30分ぐらい経った頃

「邪魔するぜ」

いきなり大男が入ってきた

「おやおや、さぐではありませんか。お久しぶりですね」

入ってきたのは国王だった

「そうだな。18年振りと言ったところか。お前は老けたな」

「さぐも少しは老けたんではないですかな?」

「わしは老けておらぬ。」

2人はしばらくの間思い出話に浸っていた

伊吹は少し国王の様子の異変に気付いた

記憶が噛み合わないのだ

かつて3人で集まった事や2人でこっそり城を抜け出して遊んだ事も覚えてなかったのだ

伊吹は疑問に思った

「どうして、ここに来られたのですかな?」

伊吹は理由を聞く

「ワタがここに来なかったか?」

ワタ。あのやんちゃ王子の事か。

吾輩かワタとあだ名をつけた人物

「そなた、ワタのフルネームは言えるか?」

当たり前のことだが試しに聞いてみる

「……ワタだろ?」

あの親バカ国王ならフルネームで言えるはずなのに……おかしい

やはり、こいつは吾輩の知っているさぐではない

伊吹は疑問が確信に変わり問い詰めてみることに来た

「そなた、何者だ?」

すると国王はそれを危険視たのか

「何とな……我の事に気づいてしまうとはな……流石だ」

と呟き国王は自分の持っている剣を引き抜き伊吹さんに斬りかかりにいった

「貴様は……」

伊吹さんもカウンターの如く自分の剣を引き抜き弾き返す

2人の剣は交わい始め、どんどん加速していく

それは音速を超える程だった

風が起こり、とても常人では見える程では無かった

剣が合わさる音は光が跳ねる様に見え、弾く音は雷のように激しいのだ

「はぁ……はぁ……歳は取りたくないのぅ……」

伊吹は加齢のせいか、息を切らしてくる

「歳か……愚かな者だ……」

国王は倒れている伊吹の前に立つ

「ふっ舐めなれたもんだな! 」

油断をついた国王に伊吹は自分の剣を突き刺す

それは目に刺さり、とてつもなく痛みが発したのか、とても苦しんでいた

「目がァァァァ!!!目がァァァァァァ!!!」

凄く怯む国王にトドメを! と思い、思いっ切り斬りに向かう

伊吹の剣は何故か紅葉色に染まり始めた

「これで決める!」

紅葉色の剣を見た国王は「まだそんなにも力があったのか……くっ!こうなったらお前を地獄の焔で焼き殺してくれる! !」

国王は怒り、速度がどんどん速くなっていく

「速い…」

国王の姿が見えない

「死ね!」

伊吹は腹を刺され、刃は貫いている

「ぐはぁ…ぁ…」

刃を抜かれ、伊吹は倒れる

大量に出血をし始め、内臓が貫かれてほとんどが機能を失い始めた

もう長くないだろう

そして、意識が遠のき始める

そして謎に体が燃え上がる

その炎は伊吹の肌を溶かし、内蔵は蒸発をし始める。骨は高温の余り、焦げ始める

国王はさらに追い撃ちを掛けようと伊吹の家に火をつけた

「さらばだ、伊吹。冥土の土産に教えてやろう。我の正体は…」


街に向かって歩いているヨルナミとワタ

「なんか焦げ臭い匂いがするぞ!」

「ああ、伊吹さんの家からだ!」

「煙だ…走れ!」

伊吹は全てを知った

「そういう事か……」

謎が解けてが二人のことや一人の女性が少し心残りだか、かつての友人が導くように伊吹の魂はこの世を旅たった

2人が着いた頃

家は全焼していたのであった

「なんで……伊吹さん……」

「伊吹さーん!」

しかし、返事がなかった

「ヨルナミ、こっちに来い!」

ワタは地下室を見つけた

「ここは…伊吹さんの遺産が…手紙もあるぞ」

「確かに…伊吹さんの文字だ」


ヨルナミ、ワタへ

この文をお前らが読んでいるということは、吾輩は既に殺され、この世にいないって事だな。

これは吾輩の最後の指示。心して読むといい

まず、街に行け。そうして、作戦をゆっくりと立てろ。「」そうしたらいい。

そしてだ、城を乗っ取ることに困ったらアクアヒルズ国に居る岩本という人を訪ねろ。吾輩の嫁だ。あやつならお前らの力になると思う

そしてだ、地下室の倉庫に吾輩の遺産がある。

ヨルナミの弾いてる物だがギターって名付けたらどうだ?

昔のある友人が言ってた

2人の少年が来て、音の出るピーナッツ型の筒のやつを持ってきて、名前がついて居なかったらそう名付けろってな

お前らが生きていく為の金は充分あると思う。しっかりと使え

そして、この国の未来、この世界の希望となれ

伊吹より


「なんで…なんで伊吹さんが殺されないと行けなかったの!僕が死ねば良かったのに…」

泣きそうになるヨルナミ

「バカ……俺の前で弱音は吐くなって言ったやん……」

「でも、伊吹さんの意思は僕らが継がないと行けない。メソメソ泣いてても仕方ない。だから、行くよ!ワタ」

「おうよ!相棒」

2人は外に出ると青い空によりも大きな雲が広がっていた

伊吹さん……頑張るから見守っていてください

ヨルナミはそう思いながら旅立っていったのだった


その後僕とワタは街にでた

その時ある歌詞が思い付いた

この事をワタに話したい

そう思い、宿に泊まろうと提案し2人は宿に入った

「なんだ、いきなり」

ワタは何が始まるんだろうと少し疑問に思いつつもヨルナミが提案してきたことだと思い少しわくわくしていた

ヨルナミはギターを取り出し、構える

そして歌う準備を始めた

「それじゃあ聞いてください。僕が考えた新しいギターの可能性で作った曲、修行成果壱年分」

ヨルナミはギターを弾き始めた


毎日毎日スパスタの日々だった

僕らは強くなっみせるその一心

国王を倒して国を乗っ取ってやる

叫べ戦え強くなれ

何があってもあっても挫けない

打たれは弱いが心は折れん

この先にある希望の光

それは凄く美しいだろう

僕ら走り出す

叫べ戦え強くなれ

あの残虐な王から救うんだ

世界平和へのスタートライン

叫べ戦え強くなれ

屈指せず前へ

どんどん前へ

叫べ戦え強くなれ

僕らは絶対屈しない

荒れ狂う刺激に耐えながらも

叫べ戦え強くなれ

叫べ戦え強くなれ

明日という未来に立ち迎え


現代で言うラップ調で歌ったヨルナミ

ワタはヨルナミが改めて凄いことを確信して拍手をした

「これからも色んな話があると思うが、よろしくな。相棒」

ワタが手を差し伸べてきた

「ああ、頼んだ!」

ヨルナミはワタの手を取って明日へ備え寝たのだった

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