第2話

いや〜全身を照らす陽の光、気持ちいいな……

洞窟の中とは大違いだ。魔鉱石?ってやつが光ってはいたけど、やっぱり人間なら陽の下が一番良いはずだ。

現在、オレは洞窟の外にある切株に腰を下ろしてる。

そういえば、なんで出れたのか? それは……まぁ、一旦待ってくれ。

オレ自身、色々情報が多すぎて処理してる途中だから。

とりあえず、ミリナに質問攻めして、分かった事とか起きたことを地面に書き込んでいこうと思う。


・事故って死んだら、異世界に来た。←初っ端からおかしいけど何とか理解出来た。

・ラノベでよくある?スキルを持ってた。←まぁまぁまぁ。よくあるやつ。

・そのスキルってやつが、自我を持ってた。←ギリギリ分かる。転○ラで見たことあるような。

・スキルに名前をあげた。←この世界でずっと一緒にいる仲間なら名前は持っておいて欲しいから。おい、とかお前、じゃ可哀想だ。

ちなみに、名前はミリナだ。特に考えた訳じゃないから、センスがないとかの意見は受け付けない。


よし、段々と理解出来てきた。

あと、ミリナ曰く、オレの持ってるスキルの名前は【選択】ってものらしい。(ミリナそのものの名前)

スキルの詳細は、


『オリジンスキル【選択】


発動すると、この世界の事象を全て3分間、一時停止します。(オレも含めて)

その際、主、ショウに望む行動(例、10メートルの跳躍)を提示していただき、ワタシが実行可能な行動か精査します。可能なら、実行終了まで肉体の操作権をワタシに一時移譲してもらい(10メートルの跳躍は可能)、不可能なら、再び主、ショウの意見を待ちます。

実行可能な行動かどうかの判断基準は、主、ショウの潜在能力を100%引き出したものになります。

そして、最後に重要な情報です。

もし、3分間の間に実行可能な行動が提示されない場合……死亡します』

とのこと。


スキルっていう男子高校生なら一度は憧れるものを持ってたことに内心で歓喜してたら、最後ので一気にぶっ飛んだ。

それでも、よっぽど難しい行動を望まない限り、死ぬことはないっぽいから良しとしよう。それに、能力だけ見たら、めっちゃ強いじゃん。

発動するには、心の中で「発動!」って言えばいいらしい。




・【魔素】は生命力。


ミリナが言うには、この世界に存在する生物は全て、【魔素】という生命エネルギーのようなモノを持ってて、オレのスキルもその【魔素】を消費して、発動するらしい。(3分間を越すと魔素が足りなくなって、生命活動を維持出来なくなるのが死ぬ理由)

ただ、人や動物によって魔素の保有量は違って、オレはその中でもトップクラスの保有量らしい。 基準が分からないけども、人より多いってだけ嬉しい。


一つ、気になることがあったから聞いてみた。

「【魔】って名前がついてるくらいだから、魔法もある感じなのか?」

決論から言うとあるらしい。 さすが、ファンタジーだ。

ただ、魔法はスキルとは体系が違うらしく、詳細は分からないとか。残念。




・ミリナは最高。


ミリナ自身のことを聞いてみたところ、これまた凄かった。

オリジンスキル=ミリナの能力。


『 言語翻訳:この世界に存在するあらゆる生物の言語を翻訳。


基礎能力の向上:身体能力強化、自然治癒力強化、感覚器官の鋭敏化など。

(これは、オレが気にならない範囲でミリナが調整してくれてるらしい)


自己の獲得:文字通り。(ただ、自己を獲得できるのは、オリジンスキルという特別なスキルだけだとか。だから、オレの持ってるスキルがもし、オリジンってやつじゃなかったらこれ全部無かったってことだ)←これ大事。


空間認識:不可視の状態でも空間を認識出来る。(ちなみに、オレが洞窟 を脱出、出来たのはこれのおかげだ) 』


いや、強くね? スキルに加えてこんなに便利な機能までついてくるとかどういうこと?

余談だけど、声の調子とかも変えられるらしい。何となくしたくなかったから、しなかったけど。


とまぁ、こんな感じか?

改めてここが異世界だと認識すると、なんだかテンション上がるな。

特に、オレの知らない強いヤツがいるかもしれないってのは昂って仕方ない。

はずだった……


ただ今、オレの目の前に広がるのは見渡す限りの森林地帯です。

オレの持ち物はこの身一つだけ。一応、制服は着てるけど。

どうしろと?

オレにどうしろと?!

最初は洞窟で詰みかけて、次はこれ…………異世界に転生した意味は!?

結局、愚痴ってても仕方ないから何とかするけど。


……今晩の寝床と水くらいは準備するか。

そのためには、森の中に入る必要があるんだけど……憂鬱だ。

とりあえず、暗くなる前に全部片付けよう。




そうしてオレは森に足を踏み入れた。










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