Iの夢(3)
午後1時、Iも加わりミーティングを始まり。設計、加工、チェックに分担して作業をすることになり、限られた期間内に作り上げないとならない。その中で一番問題になるのは、新しいハードディスク。耐久性を重視し冷却装置の一体型で考えることに。コンパクト設計で周辺機器も全ての物を以前よりかなりグレードを上げる設計になり。完成までの予定日数は23日。
工藤のスマホにメールが入り。信也から、もう少しで到着すると。それを知った社長は、突然、うちで歓迎会をするからと言い出し、参加できるものは参加してくれと言い、全員参加することに。
工藤は、信也を迎えに会社の駐車場に行くと、ちょうど信也の車が入って来ると、車を一旦停め、窓を開け、工藤を呼んでいる。工藤は急いで信也の車のところに行くと。
「お疲れ様です、どうかしたの?」
「差し入れを持ってきたんだけど、時間帯が」
「ありがとう、ちょうどよかった、社長が急に歓迎会を家でするって言って」
「えっ!? そうなんですか?」
「木村さんも一緒にどうですか? みんな待っていますから、とりあえず研究所に案内します」
研究所に行くと、いきなり拍手で迎えられ。信也は、少し面喰い。
「皆さん、お疲れ様です、木村信也です。お昼に希さんから電話があり、いろいろと話を聞き、本当にうれしく思っています。ありがとうございます」
信也は、社長の方を向き。
「社長にお願いがあります。もし私の願いが叶うなら、更なるご迷惑をおかけしますが、実は、会社に退職願いを出して来ました、来月末で退職します。退職後、ここで雇っていただけないでしょうか? お願いします」
信也は、深々と頭を下げ、突然の申し出に社長は困惑しているが。
「それは、どうしたもんかなー……雇うに決まってるだろう」
すると、研究社員の1人が。
「社長、ためすぎですよ」
「みんな、異存はないか?」
異存なし、全員一致で大喜び。このあと、みんな社長宅へ集まった。昨日に続き、ごちそうがたくさんテーブルの上に並び、社長が一言。
「今日は本当に嬉しい日になり、希の入社と、再来月から信也君の入社と、会社にとっても人工知能の新たな研究として、大いに期待できる人材が入ったということで」
突然、Iが割り込んできた。
「あのー、申し訳ありませんが、その中に私も加えてもらいませんか? 今日の皆さんを見ていて私も人のために何かお役にたてればと思いました」
これまた突然の申し出に、人工知能持ったものが社員として働くことができるのか、と誰も考えていない。それよりも、みんな大賛成だった。
社長は、目頭を熱くさせ。
「人工知能もった人と一緒に、仕事をしたいと思っていた、まさかこんなにも早く、夢がかなうとは……」
Iも目頭を熱くさせ。
「人間と同じ扱いをしていただきありがとうございます。なんと言っていいのか、嬉しいです」
「みんな、これも信也君が人工知能の研究を諦めなかったことに乾杯しょう」
乾杯をし、楽しく食事をしていると、社長が信也のところへ。
「信也君、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「信也君、相談なんだが、ハードの載せ替えが終わるまでは、ここに住まないか?」
「えっ!? ここに、ですか?」
研究社員たちは、会社の敷地内に寮を完備し、家賃は月1万円で独身者にはかなり人気。 会社の近くには、会社所有のマンションも幾つかあり、社員たちは格安に。
「ここだったら部屋も5つ空きがあるし、宗方教授の件もある。ここだったら手出しはできないはずだから、この件が片付いたら会社が経営しているマンションにでも引っ越してもいいし、どうだろう?」
「……わかりました。明日にでもここに引っ越しします」
「そうか、そうしてくれると、安心して作業もできる。信也君とはこれからのこともあるからな」
「すみません、気を使わせてしまったようで」
「当たり前だろう!? 家族なんだから」
そこへ、Iが割り込み。
「社長、抜け駆けはダメですからね」
「Iさん、社員みんな家族ということじゃないですか!?」
「そう言うことならいいのですが」
「I、失礼だろう!?」
「信也君、いいから、いいから、Iさんも一緒に暮らすんだから、家族同然なんだからね」「社長、すみませんでした」
この時、工藤は席を外し、このことを知らない。
しばらくして、工藤がリビングに戻ると、Iがあの話を。
「希、皆さん、私と信ちゃんは、明日からここに住むことになりました」
工藤は驚き、工藤の父親のところへ。
「お父さんどういうこと!?」
工藤の父親は、事情を説明し。
「そう言うこと事なら、わかった」
研究社員の1人が、何を勘違いしたのか。
「希さん、おめでとうございます」
「誤解しないでください、1ヶ月くらい住むだけですので」
すると、Iも誤解のないようにお願いしていた。
信也は、引っ越し準備もあり、一足早く自宅へ帰り。Iは、工藤の家に泊まることに。
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