4
「自殺未遂した人の、話を聞きたいと思う?」
「聞きたいとは、思わないけど……」
「でしょ? ならわたしが話す事はないよ」
ぴしゃりと言い放つ希依子。
「ま、待って、それが希依子の話なら、聞きたいよ!」
ハンバーガーに齧りついて咀嚼する希依子は、まるで大悟の声なんて聞こえていないようだった。暫くそれを続け、漸く飲み込んだ希依子は口を開く。
「わたしね、リスカしてたんだ」
「……うん」
「大悟くんは、自分を傷付ける方法が幾つあるか知ってる?」
「え……?」
希依子の投げ掛けた問いに、大悟のポテトを摘まんだ手が固まる。
「リスカ。瀉血。OD。ボディステッチ。他にも沢山ある。それって、死にたいくらい辛い思いをしている人達が、まだ死にたくないって思える何かを持っていて、だから自分を傷付けているんだって、わたしは思うの」
トレイにポテトを置き、大悟は希依子の言葉に頷く。
「中学二年生の時かな。線路の上に止まって死のうとした事があった。それを、止めてくれた人がいたの」
希依子は両手で持った食べ掛けのハンバーガーを見つめる。
「その人は、ネットで知り合った人だった。何回か会った事があって。さよならってメッセージを送ったら携帯に電話が掛かってきて、お願いだから死なないでくれって泣きつかれて。それでわたしは自殺をやめた。彼の事が好きだったの。わたしの事を必要としてくれてるって思ったら嬉しくなっちゃって」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます