第2話

 早起きして支度をして時計を振り返れば待ち合わせの時間が迫っている。

 早起きは苦手だけど一年に二回だけの早起きだ。

 そして絶対に遅刻はできない。

 玄関から飛び出して花屋さんに向かう。

 彼女が大好きな花を束にして指輪をポケットに潜ませて。

 この日とあの日だけはとびっきりの笑顔でいなくちゃいけない。

 この笑顔を待っている彼女がいるんだ。

 息を切らせて待ち合わせ時間丁度に着き安堵した。

 顔を上げて彼女に笑う。

「お待たせ。」

 いつも待ち合わせの時間より早くに来ている彼女を前に泣きそうになりながら笑った。

 プロポーズしようと思ってたんだ。

 それなのになかなかできなくて。

 二人きりで沢山話そう。

 思い出を溢れるほどに。

 プロポーズできなかった臆病な僕を笑ってくれ。

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