ジトっとした、古めかしく、不気味な文体。

物語の季節は七月。
ジトジトとした、梅雨時期のような、カタツムリのような、ゆっくり進む文体が不快さ、不可解さを際立たせています。
作中、多くは説明されないものの、舞台設定や周囲の人々の価値観、関係などがパズルのように自然と伝わってきて、それらが主人公の立場と決意につながり、そしてすべての情報が『来客者』に集約されていくラストの描き方。
本当に不気味です。