俺は隣の席のツンデレちゃんとヤンデレちゃんに好かれてるらしい。

non

ツンデレちゃんとヤンデレちゃん

「ねぇ…裕太!」


…ん?あ、俺寝てて…


「おい佐藤!お前寝てるんだったら

この問題くらい解けるよな!?」


「あっ、えと…」


「8x-2だよ。」


隣から可愛らしい声が聞こえてきた。


「…8x-2です……。」


「なんだよ、分かってんじゃねえか。」


俺はほっとため息をつくと席に座った。



右にいる佐倉さんの方を向くと

佐倉さんは微笑んでくれた。


「ありがとう…。」


「どういたしまして。」


「はぁーーーー」


俺の左側からわかりやすいため息が聞こえてきた。

左の席に座っているのは加藤だ。


「あ、加藤、なに…?」


「何じゃないわよ、人がせっかく

起こしてあげたのにこっちには礼もないわけ?」


「あ、加藤が起こしてくれたんだ。ありがとう。」


言われた通り礼を言ったのに

彼女は不機嫌のままだ。


「べっつにあんたの為じゃないし?

ただあんたのせいで先生が不機嫌になって

宿題増えたらこっちだって

たまったもんじゃないもの。」


いや、じゃあ礼言わなくて良かったじゃん…。

いつもの事だけどなんなんだこいつ。

でもめんどくさいからテキトーに返しとこ。


「ごめんて…。

次からは寝ないようにするからさ。」


「おい佐藤!

おまえは授業を聞くだけの事もできんのか!」


「あっ、でも…」


そう言って加藤の方を見ると

鬼のような形相で睨んできた。


「すみません…。」


「次喋ったら教室から追い出すぞ!」


「はい…。気をつけます。」


すると、加藤が横から小さい声で言った。


「わかればいいのよ。」


彼女はそれだけ言うとそっぽを向いてしまった。


と、同時に俺の腕にボールペンの頭で

つつかれているような感覚がした。


俺はその方向を向くと佐倉が

ノートの切れ端を俺に渡そうとしていた。


俺はその紙を受け取った。

どうやら手紙らしい。


俺はその折ってある手紙を広げ読んだ。



【佐藤くん】


【私より加藤さんとよく喋ってるけど

私の事嫌いなのかな?】


【加藤さんより私の方が好きなら

加藤さんとはもう話さないで欲しいな。】


【もし…佐藤くんが加藤さんの方が好きだったら

私はこの世からいなくなるから大丈夫だよ。】


【でもその時は私佐藤くんに殺されたいな。】


【私、佐藤くんが加藤さんと楽しそうに

話してるの、見てられないからこれから一言でも

話したら倒れるからね。】


【大丈夫。この薬で死にはしないから。】


【ちゃんと佐藤くんに殺されるようにするから

大丈夫だよ。安心してね。】


【佐倉 美穂】



いや、おっも………。

てか一言も話さないって無理があるだろ…。

クラスメイトなら何か用があって話しかける事だってあるだろうし…。


この授業だったらさっき注意されたから

流石に話しかけてこないだろうけど

この授業が終わったら……。


そう思っていたらチャイムが鳴った。

昼休みだ。



終わった…。



俺は顔を伏せて深くため息をついた。

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