第7話 良い湯!良い友!良い女王??-その2

二人にとっての異世界生活、二日目の朝。小鳥の声で起きた二人はハミガキだけチャチャっとして、パジャマの着崩れも直さず、勢いよくドアを開けた。

「どうもー」

「おはっよー」

「いった、痛いです。」

「あれ?ケロちゃんがなんでここに?」

「ニコテスがうろついていたので、監視をしてまして。はぁーあ。眠いです。」

ドアの一撃をくらったケロルは、睡魔で目が開かないというような顔で挨拶してきた。

「そりゃ、ご苦労さん!」

「ありがとー。ケロちゃん💕」

いつも通りモモの胸に収納されるケロルであったが、今朝のケロルに抗う気力は残っていなかった。そして、ケロルは収納されたまま食堂へ向かった。

「わぁー。美味しそう💗」

「朝は食べない派だけど、これは食べたくなる、、、」

長テーブルに広がる色鮮やかな料理。二人の食欲はいきなりトップギアとなった。ビュッフェ形式を片っ端からお皿に乗せていく。コーヒーをがぶ飲みして、目を覚ましたケロルはそれを見て、

「今日は重要な集まりがあります。なので、あんまり食べ過ぎないように。」

「はーい。モモ、ウィンナーあげる。ほら、あーん。」

「ありがと!おいひぃー」

ウィンナーを咥えてはしゃぐモモたちに呆れているケロルの横にゼルリッチが座った。

「昨日は眠れなかったのか?」

「これは先生、なぜそれを?」

「あそこのバカもそうだからじゃ。」

指差した先には、パンダのようなくまができたニコテスが廃人のようになっていた。

「どうせ、また女のケツを追っかけていたのだろうな。バカな孫よ。」

ケロルは内心(お前が言うか?)と思ったが、言わないでおいた。

「お前さんも神経質だから寝れなかったんじゃろ?」

「まぁ、そんなところです。」

「今日の会議には彼女たちも出るのか?」

「はい。今日は王女揃い踏みらしいぞ。加えて、ホーセン将軍も。」

「そうですか、、、」

ケロルの顔には明らかに暗くなった。



たらふく食べた二人は、少しの食休みを経て、ケロルの言う“会議”の準備をすることになった。

「今回は制服を着てください。女王の前ですので。」

「それはどっちのこと?」

突然、更衣室から下着姿のモモが二つの制服を持ってきた。一つはこの国セレティアの制服、もう一つはモモたちが着てきたものだった。

「とりあえず、着てください!」

「じゃあ、貰った方着よー。ってあれ?閉まんない、、、あっ!!」

「どうしまし、、、うわっ!!」

セレティア制服の第二ボタンがケロルの額を撃ち抜いた。すかさず、着てきた制服姿のアヤカがモモを回収し、更衣室前には気を失っているケロルだけになった。




「どうもー。おはようございまーす。」

「あああ!今何時ですか??」

「うーんと、今は11時だよ。」

「まぁ、二、三時間くらい寝てたな。」

「遅刻です!!急いで、行きますよ!!」

ケロルが全速力で走り始め、それに二人も続く。とはいえ、ケロルは運動音痴のため、あっけなくアヤカに抜かれる。

「どこなんだよ!」

「そこ曲がってから、4つ目の扉です。なんで起こしてくれなかったんですか?」

「だって、殴っても起きねぇんだもん。」

「殴るとは物騒な。」

やっと着いたそこには大きな扉があった。アヤカが恐る恐る開けると、思った通り会議は始まっていた。

「どういうことよ!会議に遅れるなんて!!」

「すみません。女王様。そして、第二女王様。」

深々と謝るケロルの先には、小学校低学年くらいの女の子が体に見合わない椅子に座っていた。横には見覚えのある顔が、、、

「おい、チビ!そこの乳牛とゴリラ野郎が、この国を救うってやつ?弱そうじゃない!!」

アヤカの堪忍袋は一瞬で爆破した。




つづく

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