誰かに向けてるひとりごと

松竹梅

2020年5月

1日目 道

彼曰く、人生は果てなく続く道である。


自分の行き先も分からないまま、足を踏み出した先に進んでいく。

なぜ足を踏み出してしまうのだろう。

目の前はどこまでも真っ暗、闇。

照らす光も、進む不安さえ溶けていく。

道が続いているかも分からないのにただ進む。

足を踏み出す、歩く、足を出す、歩く。足。足。足。

踏み外しても、転んでも、足を出したくなくても、

いつの間にか進んでいる。


右を見ればおじさんが歩いていて、左を見ればお姉さんが歩いている。

仕事が嫌い、学校が嫌い、友達が嫌い、彼氏が嫌い、

先輩が嫌い、新人が嫌い、みんな嫌い、人生が嫌い、

嫌いばかりで道がふさがる。

振り返ればそこに道があるけれど、

果てなく続くのは後ろに進むことだろうか。

嫌いばかりを見つめて何が楽しいのか。

前を見つめても真っ暗で、後ろを振り向いても嫌いで暗い。

嫌いばかりを追いかけても楽しくない。


楽しいものはどこだろう。

楽しい職場、楽しい教室、楽しい関係、楽しい感情、

今までの道に、楽しいものなどなかった。

目の前の道は真っ暗だけど、足が進むのを止めることはできない。

楽しいものが見つからない。


楽しいものはどこだろう。

後ろを探しても見つからない。

足だけ前に進んでいく。

僕らは楽しいものを探してる。

見たことのない、光を求めてる。


人生は真っ暗闇、楽しいものは後ろにない、

前にもないけど、嫌いはない、

嫌いがないなら、進んでもいいかも、

進んで、進んで、楽しいが見つかるまで、


進んで、進んで、

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