占い

青年が占い師に悩みをぶちまける。

「将来がみえなくて、不安で怖くて狂いそうです。」


占い師は厳かに水晶玉をのぞき込み、低い響く声で諭すように語りかける。

「あなたの未来がよーく見える。

安心しなさい。あなたの望みはかない、明るい未来が待っています。」


青年は気持ちが落ち着き、占い師にお礼を言い、夜の街に消えていった。


初老の男が占い師に悩みを相談する。

「将来がみえてしまって、怖くて夜も眠れず狂ってしまいそうです。」


占い師は厳かに水晶玉をのぞき込み、低い響く声で諭すように語りかける。

「あなたの未来は霧がかかってはっきりとは見えません。

しかし、安心しなさい。あなたの望みはかない、明るい未来が待っています。」


初老の男は、満足して去っていった。


「人間にとって一番怖いのは、

将来がみえないことではなくて、将来がみえてしまうことさ。」

一人残った占い師は、呟く。

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