第15話まいちゃんの応援

「うーむ」

 一つのプロが書いた絵と描きさしの絵を比べる。


「う〜〜〜〜〜む」

 もちろん描きさしの絵をは俺の絵だ。お世辞にも上手とはいえない。というより下手だ。


「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜む」

 頭を抱えたくなる。どこを直せばうまくなるのかさえわからないほどの下手さだ。実際に俺は悩んでいた。


「瞳はどう書けばいいんだ?」

 どうしても、人もの目を真っ黒に塗りすぶすとメンヘラになるし、ある程度余白を作らないといけないが、その作り方がわからない。


体の構図も、一応プロが作った人のものを参考に書いているが、なかなかこれが難しく、コピーでも思う通りに作れない。


 俺は頭をふった。


「わからん。ちょっと、コーヒーでも飲むか。

 今は午後3時。おとんもおかんもいない。兄貴も自転車で運動しているために今はいない。


 俺一人だけの家で階段を降りると、チャイムがなった。

 ん?宅配の人かな?


「はーい。ただいま」

 俺は玄関を開けると、そこには、まいちゃんがいた。


「まいちゃん!どうしたの!?」

 まいちゃんは透明な恭しさで頭を下げた後言った。


「これを」


「これは、鉛筆に、鉛筆削り!いいの?まいちゃん!?」

 まいちゃんは相変わらず透明な優雅な笑みをした。


「うん。どうせ、私は使わないから」

「そっかぁ。悪いね。ありがたく使わせてもらうよ。せっかくきたんだし、何かお茶でも持ってこようか?」


「うん。ちょっと、今日暑かったし・・・・・・・・」


 その時、まいちゃんのスマホの着信音が鳴った。まいちゃんは素早くスマホの画面を見る。


「友達からだ・・・・・・」

 俺は早口でいう。


「そうか。ありがたく使わせてもらうよ。ありがとう。またね」

 まいちゃんも手を振る。


「また」

 俺はまいちゃんが帰った後にも、アイスコーヒを飲みながら、まいちゃんがくれた鉛筆と鉛筆削りを見つめていた。


「努力しても、ものになるかどうかはわからない」

 自然に独白をいう。


「だけど、本気でやれることはできるはずだ」

 そういうとアイスコーヒーを飲み干し、まいちゃんがくれた鉛筆と、鉛筆削りを持って、2階に上がった。


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