第34話  今日も今日とてらぶらぶと

そろそろいちゃいちゃが飽きてきたという方!!


安心してください!!今回もいちゃいちゃです!!


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「……──人君。起きて、柊人君!!」


優しく体をゆすられる感覚があった。ゆっくりと目を開けるとそこには見慣れたかわいい顔がある。


「朝だよ?」

「………夢か」


家に萌笑がいるわけない。


「わっ……」


夢ならば堪能してしまえと萌笑を抱き寄せる。


「ちょ、柊人君。起きて」

「……うぅ」


なんか起こされそうなのでぎゅっと抱きしめる。思ったよりリアルな感触だし、幸せだ。


「………起きてよぉ……」


……………思ったより萌笑がリアルだ。萌笑のことを抱きしめたりくすぐったりしてみる。


「あ、ちょ……ん……や、やめて……」


萌笑がくすぐったそうに身をよじらせる。




………………現実リアルだった。



「………おはよう」

「おはよう……何してくれてるの……」

「ごめん。夢かと思った。なんで家にいるの?」

「なんとなく早く会いたくなって来たの……………いやだった?」

「嫌じゃないぞ」


俺に早く会いたかったんだな。それは嬉しいな。


それで来れるとか、親のガードが緩すぎると思うんだけど。まあ、萌笑だから許されたんだろうな。


「で、母さんたちは?」

「柊人君のために料理作ってるよ」

「おお、いつもありがたいな」


近くに萌笑の顔があって、しかも二人でベッドに寝っ転がっている。


………この状況、かなりやばいんじゃないか?


親が見たらかなり変な勘違いとかをされそうなのでベッドから降りる。


「じゃあ、着替えたら行くから下で待ってて」

「分かった!」


萌笑が部屋を出ていく。


普段だったらだらだらと着替えたり、萌笑からのLlNEを確認したりするのだが今日は手早く着替えて部屋を出る。


階段を降りるといいにおいがしていた。


「……旨そうな匂いだな」

「おお、起きてきたか息子」

「母さんどうしてキャラ崩壊してるの?」

「いやあ、萌笑ちゃんが来てくれて嬉しいだけだよ」


もともと変わった人ではあるけど今日は特にキャラ崩壊してる。


母さんも萌笑が来て嬉しかったと。


「柊人はヘタレだからいつまでも紹介とかされないままに結婚までしちゃうんじゃないかと思ってね」

「……そうかい」


止めてくれ。萌笑が真っ赤になってるから。


もともと仲は良かったし、付き合いましたと紹介するまでのことじゃないと思ってたし、そんなことをするつもりもなかったからな。


萌笑の家庭の方には知られてるしな。


「いただきます」

「私たちはもう出るから、後はよろしく萌笑ちゃん」

「わ、分かりましたっ」

「いってらっしゃい」


なにをよろしくだか。


「萌笑は朝ごはん食べたのか?」

「先に食べさせてもらった……」

「話すこととかあったのか?」

「……あ、あった……………」


からかわれたんだろうな。


まあ、母さんは父さんで誰かをからかうことに慣れてるしかなり恥ずかしい思いをしただろう。


萌笑となれば遠慮とかはしないだろうし。


母さんはもともと娘みたいなものだと思って接していたから。


「お疲れ」

「……うん……」




朝ご飯はちゃんとおいしかった。





………………


………




最後に皿に残ったレタスを口に運ぶ。


「……ごちそうさまでした」

「はーい」


キッチンで洗い物をしていた萌笑が返事をしてくれる。


こうやって見てると本当にお嫁さんみたいだな。最近はからかいとかで結婚ネタに慣れてきて、こういうことを考えても恥ずかしくなくなってきた。


朝ご飯で使った皿を重ねてシンクのほうにもっていく。


「……ありがとな。これもお願い」

「おっけー。ちゃんと歯磨きしてね」

「おう。わかってる」


萌笑に声をかけてから洗面所のほうに行く。寝起きの自分の顔は眠そうだった。


髪の毛を軽く整えて顔を洗う。顔を拭いた後、歯ブラシに歯磨き粉をつけて口に入れる。


「……終わり」


丁度萌笑は洗い終わったところだった。


「おう、お疲れ」

「うん。ありがと」


俺はソファに座ってテレビの電源をつける。ついたのはニュース番組だった。


萌笑がすぐ隣に座り込んでくる。


「こうやってしてると夫婦みたいだな」

「そ、そうだね……」


萌笑は慣れていないみたいですぐに顔を赤くする。


「……し、幸せな夫婦だね」

「そうだな」


こうやって二人で過ごせるんだったらそれは幸せな夫婦だ。



『えー。きょうは猛暑日ということで、かなり暑くなります。外出をする際は水分補給をきちんとして、なるべく涼しい格好をするようにしてください』



天気予報のコーナーで天気予報氏が言ったことばが聞こえる。


「今日も暑いんだな……」

「もうずっとそうだね……やめてほしいな」

「そうだな」


暑いと萌笑とくっつくことを躊躇わざるをえない。


もっと涼しければずっとくっついていられるんだけどな。


「……今日も二人で家に二人っきりだね」

「そう、だな」


夏休みの間ずっとそうだ。ずっとそうでも飽きることはないが。




今日は何をしようか。




とりあえず涼しいうちに萌笑を抱きしめた。


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