第16話 成果の公表

一週間後、異例の記者会見がニューヨークのホテルで行われた。

ウインステッド・グループのいろいろな発表は通常、本部の広報か各子会社のCEOが行っていた。

この日は、グループ総帥のジェフリー・ ウインステッドが発表するとの連絡が各メディアに入り、会場は異例の混雑を見せていた。

会長が姿を現すのも珍しい事であるのに自らが何かを発表すると言うのである、世界中からメディアが殺到していた。

予定時間になり、会長が壇上に姿を現した。

カメラのフラッシュがこれでもかと言わんばかりに炊かれた、会場が落ち着くのを静かに待って総帥が話し始めた。

「記者諸君への挨拶は省略させて戴き、要件のみお知らせします。

我らウインステッド・グループに新会社を設立した事を報告します。

会社名は国際電力供給株式会社です。

発電所は各州に一機づつ設置の予定です。

まず、この地ニューヨーク州より供給を考えております。

政府交渉と既存の電力会社との交渉もこれからです。

当然、反感、反発が予想されますが、電気料金は現在の半額を見越していますので、ぜひ、皆さんのご支援をお願いします。

詳細説明と質疑応答は広報の者が行います。では、よろしく」

と言って会長のジェフリーは壇上を降り裏へ去った。

会場は一瞬の静寂の後、大騒ぎになり、壇上に変わって上がった広報担当が静まるまで待つ事になった。


その日の夜のテレビでは、この話題一色となった。

電気料金を半値にする、それを、あのウインステッドが行うと言ったのだ。

話題にならないはずは無かった、会長のジェフリーが、パーティーに顔を出しただけでニュースになるくらいだからだ。

テレビでは、広報が語った今後の予定を説明していた。

それによると、政府の認可がおり次第、現行の電力会社の送電線を借用し供給するとの事で、送電線の借用が出来なければ自社で建設すると語っていた。

又、発電所を建設する州の順は電力消費量の多い順との事で、メデイア各社では、各州の使用量一覧を作成し解説をしていた。

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