第4話 冷酷な目

佐々木 叶太かなた。彼は私の幼馴染だ。

彼とは高校まで学校が同じだった。別の大学に行ってから、今、再会するまで一度も会ったことはなかった。


高校生の時、私と背が一緒くらいだったはずなのに、目に映る叶太は背の高い大柄な男の人だった。髪の毛はスポーツ刈りのようで短くて黒い。私から見て右耳に一つ黒いピアスをしていて、膝の破れた黒いジーパンに、上は白いシャツ、その上に黒いカーディガンを着ていた。首からは、一つの指輪が付いたネックレスを二つしていて、お皿がたくさん乗っているお盆を両手で持っていた。


「か、叶太? な、なんで!?」

「久しぶり」


頭が追い付かない。聞きたいことがたくさんある。


「ど、どうして、あなたがここにいるの……?」


お盆を机に置いた叶太は、口を開いた。


「ここは俺の家だよ」


(叶太の家……?)


「え? な、なんで私、叶太の家にいるの? それにこの手錠は何なの……!?」

「まあまあ、落ち着けよ」

「落ち着けるわけないじゃないっ!」


滅多に怒らない私だけれど、私は少し強気に叶太を睨みながら言った。

だが、次の瞬間、叶太と目が合った私は凍り付いた。叶太が冷酷な目で私を見下ろしている。目があった瞬間、鼓動がドキリと音を立てたのを感じた。

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