第25話 裁判

 私は、裁判に参加しました。

仕切りが立てられ、傍聴席からは見えないようにされていました。

左にはSARCの方、右には弁護士さんがついていてくれていました。


「それでは、公判を始めます。」

と、裁判官が言い公判が始まった。

はじめに、父親の方の弁護士の方から、承認尋問の兄に質問が始まった。


「お兄さんは、まず、父親とはどういったご関係ですか。」


「はい。父親で、今までここまでお世話をしてくれた人です。」


「では、お兄さんは、今まで、父が妹にしていたことは、知っていたのですか。」


「いいえ。知りませんでした。」


「これからは、父親に対してどのように、関わっていく予定ですか。」


「はい。私は、今まで育ててくれたので、これからは、父が出てきてからもしっかりと見守りたいと思っています。」


「それは、介護などもするということですね。」


「はい。そうです。」


「以上です。」


私は、もうすでに、泣いていた。兄が私よりも父の方が大事だと思っているのだと思った瞬間涙がとまらなった。


続けて、検察官の方が兄に質問をした。


「お兄さんは、妹との関係はどうされていくおつもりですか。」


「兄として、しっかり妹もサポートしていけるようにします。」



ここで、私の弁護士さんが、何か1つ質問できるということだったので、私は小声で、

「お兄ちゃんは、どっちの味方なの。」

ということを弁護士さんに言い、質問してもらいました。


お兄ちゃんは一言もしゃべらず、沈黙でした。


私の弁護士さんが質問をかえて言いました。

「ずっと、お兄さんの話を聞いて、隣で妹さんが泣いているのですが、サポートとは、具体的にどんなサポートですか。」


「えっと。。住む家をさがしてあげるとか。」


「用意してなければ、用意してないでわからないでいいのですよ。」


「わかりません。」


私は、兄の「わかりません。」という言葉に、もう頼れないな

と心の中で思いました。そして、もう守ってくれるのは、そうくんだけだなと思いました。家族には、もう守ってくれる人はいない、そう考えるだけで、私は、その場で消え去りたいと思いした。



「続いて、被告人証言台に。」


検察官から、被告人への質問が始まった。


「あなたは、被害者が高校2年生の時に、初めて、性交をしたといっていますが、性交した時、あるいは、そのあと被害者は抵抗したといっていますが、抵抗したことは覚えていますか。」


「いいえ、まったく覚えていません。」


「高校2年生で、娘が精神的におかしくなった、とあなたはいっていますが、あなたは精神的におかしくなった娘をなぜ性交することに至ったのか。」


「娘が、マイナスな発言をしたり、カウンセラーのところにつれていって、寝かせてくださいといわれて、寝かせてあげるために、抱いたり、背中をトントンしてあげたりしました。」


「そもそもあなたかが精神的におかしくしたのではないですかね。父親であれば、精神的におかしくなれば、医者に連れていくことが正しいんじゃないですかね。」


「はい。その通りでした。」


「ふーん。精神的におかしくなったからと言って、抱いていいことはありませんよね。」


「はい。でも、その当時は、自分にまけていしまっていたんだと思います。」


「小学校4年生の時に、乳首をなめられているところを愛犬にみられているということを被告人は言っていますが、それはどうなんでしょうか。」


「まったく記憶にございません。」


私の弁護士さんは、大きなため息をついた。

第一回目の公判では、すべてを認めていたのにも関わらず、否認をしてきていた。


私は、嘘ばかりを聞いて、もう耐えきれず、大声をだしながら、泣いていしまった。

裁判官が、

「休廷します。」


といって、休憩に入った。


15分間、休憩をした。SARC東京の方が、お茶を買ってきてくれた。


弁護士さんは、裁判官と話して、私のことを心配してくれた。

「裁判官が、被告人は嘘をついていますが、大丈夫ですか?」

と、裁判官が心配してくれた。


嘘をついていることが、わかっていたのかと思うと、少し気持ちが晴れた。

SARC東京の人も

「あなたが泣いていることで、嘘だって証明しているから、裁判官にも伝わっているのよ。だから、しっかり自分をもって頑張って。」


「はい。頑張ります。」


休廷が終わり、続きが始まった。


私は、そこから全く耳に入れなかった。耳に入れるとまた泣き出してしまうから、したをむき、タオルを強く握り絞め、ずっと耐えていた。

最後の意見陳述だけは、自分で言いたいと思い、私はたえていた。


「では、意見陳述をお願いいたします。」


そういわれて、私は、意見陳述を言った。


「家族をバラバラにして、一生罪を償ってください。

 あなたには、もう味方はいませんよ。

 本当に最低です。

 さようなら。」


もっと、文章は長いがここまでにしておく。




私は、家族というものが、なくなってしまった気がする。母と暮らしているが、母は、統合失調症の感情障害。人の気持ちを読み取るのが難しいから、私をたまに傷つけることを平気で言ってしまう。私は、母も、兄ももう信用すること、信頼することができない。


周りには、頼れる人はいるが、誰を信じればいいのかわからない。


孤独の日々を送っている。



私、、、


わかってくれるかな。。みんな




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る