第39話 桜子お嬢さんが不気味です

 ついにヒロと想いが通じ合った桜子。


 帰宅した桜子の機嫌が良すぎて不審だったため別邸のみんながざわついていると、隣り合った春狩家の別邸管理人の沖田さんから連絡が入った。


「ちょ! 全員集まってー!」

 桜子がお風呂に入ったタイミングで緊急ミーティングを開催、情報共有した。


 今日は夕飯の前にお風呂が良いと、帰るなり鼻唄混じりで風呂に向かったのだ。


「沖田さんからホットラインだ。桜子お嬢さんとヒロさんがお互いにこくって想いをげ合ったらしい」

「それは良かった!」

「手を繋いで帰宅したのは目の錯覚じゃなかったか!」

「待て!待て!待て!いい事ばかりじゃ無いぞ!コバたんが荒ぶる可能性がある」

「待て!待て!待て!それよりも浮かれた桜子お嬢さんは危険物だぞ」



「コバたんがお隣のお屋敷を荒らさないよう注意して」

「テックンにも協力を仰ごう」

「それがいいな!」


「桜子お嬢さんが2階から飛び出さないか注意して」

「落ちても大丈夫なように窓の外に藁の束を敷こう」

「機嫌が良いと、ふわふわとどこまで行くか分からん。フラッと行ったことのない場所に出かけて機嫌の向くままに食べ歩く可能性がある」

「桜子お嬢さんの自由時間は当番を決めて交代でGPSをチェックしよう」

「予定にない行動を始めた桜子お嬢さんを確保に動く当番も決めないと」


 慎重にコバたん対策と桜子対策が話し合われた。



「ちなみにお隣の夕飯はお赤飯だそうだ」


「それはちょっと…」

「沖田さんはデリカシーがないよな」

「ヒロさん、思春期真っ只中なのに…」

「俺だったらテーブルをひっくり返すよ」


 武蔵家の人々の心にヒロに対して優しい感情が生まれた。

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