第14話 別邸での真太郎

「ただいま」


「おがえりなさいませ。大二郎だいじろう坊ちゃんと三郎さぶろう坊ちゃんから若様に伝言がありますよ」


 真太郎しんたろうは男三兄弟の長男で、大二郎だいじろうは3歳下、三郎さぶろうは8歳下の弟だ。


大二郎だいじろうたちから?」

「お帰りになったらお話ししてえとのことですよ。若様のお顔みで話してえって」

「分かったよ、ありがとう」


── スカイッペにするか


 他にも選択肢はあるが最近のお気に入りはスカイッペだ。さっそくPCを起動して準備OKだ。


「あ、だいじ…」

「兄ちゃん! 聞いてよ!」

挨拶もなく勢いよく喋りだす大二郎だいじろう

「タロ兄ちゃん! タロ兄ちゃーん!」

大二郎だいじろうが話している途中なのに勢いよく割り込んでくる三郎さぶろう


 サッカー少年の大二郎だいじろうは鹿島灘アンドラーズの大ファンで、プロ選手を目指している。家族の贔屓目を差し引いても将来有望なサッカー少年だ。

 もちろん真太郎も大二郎だいじろうを応援している。大二郎だいじろうは今日もサッカーに夢中な様子だった。


 6歳の三郎さぶろうはアニメのキャラクターになりきって暴れていた。最近のお気に入りは忍者だそうだ。この間まで将来の夢は仮面ライダーだったのに。


── あの模造刀で襲われだら痛そうだな、大人しくセサミストリートにでもハマって欲しいものだよ。


 離れていても常陸領の本邸で暮らしていた時と変わらない騒々しさだ。


── とはいえ物理的に距離があるのはありがてえな。体当たりされたり突然襲いかかられたりしねえからな。

 夏休みやお正月など長期の休みは本邸で揉みくちゃにされるだろうけど、こっちでの生活は快適そうだな。



 きよが遊びに来ると、いつも弟達に邪魔されてきた。2人姉妹の妹であるきよ大二郎だいじろう三郎さぶろうからきよ姉ちゃんと呼ばれるのが嬉しいらしく、いつも面倒がらずに喜んで2人の相手をしてくれる。

 それは嬉しくてありがたい反面、残念でもあった。


── こっちにいる間は弟達に邪魔されずにきよど過ごせそうだな。


 顔がニヤける真太郎しんたろうだったが、大和には清の姉の明美がいることを忘れている。弟たちよりも手強い相手だ。

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