第17話 中身はこれで最後です

 胴体は全て終わったので、次は上か下かなわけです。どっちも違う方向で気が進まないのですが、まあ上から行こうかと思います。



 脳みそと眼球は取り出しておきたいのですが、それには頭部を分離した方がやりやすそうです。目はまだそのままでもどうにかなりそうなのですが、脳みそはちょっとやりにくそうですからね。

 首はいつも通り中華包丁と電動のこぎりでいきましょう。気管がありますから今までのようにはいけないでしょうが、どうにかなるでしょう。


 中華包丁は先ほど台所に戻った時に洗って軽く研いでおきました。これだけの包丁を研いだことはなかったのでうまくできているかわかりませんが、今のところ気持ちよく切り進められているので、意味はあったんじゃないかなと思います。

 気管には全体重をのせるくらいのつもりでいきます。前後に動かしながら、気管から食道へ向かいます。

 そうですね。量で言えば肋骨が今のところ一番なのですが、一回の難易度で言うとこれが一番かもしれません。ただ骨の部分に関しては、十数分後には一位は奪われてしまうでしょう。頭蓋骨なんて想像もつかないものが控えていますから。


 切断し終わり、ビニール袋に包まれた頭部が支えを失って転がってしまいました。切断面を上にしてゆらゆらと動いています。上の方が重そうですし、仕方ないですね。

 切断部分をつかむと、重さで袋とタオルたちは下に残され、反対向きの顔と目が合いました。少し覚悟はしていたのですが、一瞬心臓が止まったかもしれません。


 数秒彼と目を合わせてようやく落ち着いてきました。少し慣れたようです。


 さて、脳みそを取り出しましょうか。


 取り出すには頭蓋骨を外さなければいけないのですが、これも電動のこぎりでいけるでしょう。脳みそについては、傷つけてしまっても大丈夫なので、回しながら切るなんて難しそうなことはしなくていいのは嬉しいことです。眉の上あたりから切っていこうと思います。

 皮を傷つけ、いつものように頭蓋骨を切っていきます。骨自体は問題ありませんが、手を抜いた結果、脳みそらしきものがのこぎりで飛び散ってしまっています。まあ、脳みそで多少汚れても最後に掃除しますし構いません。

 六回で頭蓋骨を切り終わりました。これで外れます。


 脳みそって本当に豆腐みたいな感じなんですね。スーパーで売ってる四角いやつというよりは、ちょっと高い寄せ豆腐のような感じでしょうか。色はピンクです。赤黒い血管がなければあまりグロテスクではないかもしれません。

 手ですくってビニール袋に詰めます。取れる分は全部取っちゃいましょう。何も考えずにぽいぽい入れていくので、どんどん崩れてしまい、原形はもうありません。



 じゃあ最後に目をとりましょう。

 こうスポッと取るつもりでしたが、脳みそをいじっているうちに潰れてしまったようでした。血とつぶれた脳みそと他のいろいろのものが混じったどろどろの液体と皮のようなものが残っているだけです。もしかするとのこぎりがあたってしまっていたのでしょうか。


 顔を下に向け、液体を捨てます。そのあと皮を引っ張って、神経を切ります。中華包丁では無理がありすぎる場所だったので、お腹を開くときに使ったのを使います。

 取り出せたこれはどうしましょうか。どっちにしろ形が残っているままではいやなので、潰すつもりではありましたが、この後についてはあまり考えていませんでした。まあほかの臓器と最終的な処理は一緒でいいでしょう。個別にする必要もないので、脳みそと一緒にしておきます。



 これで残りは肉と皮と骨だけになっ――てはいませんでしたね。そういえば下着の下は全く手を付けていません。


 本当にいやです。触りたくもないんです。吐き気がしてきます。

 でもやらなきゃいけません。


 腰のゴムに指をかけ下におろしていき、ほんの少し残ったふとももから下着を抜きます。予想通りナプキンは汚れていましたが、どうにか範囲内で収まってくれたようです。これで漏れていたら泣きたくなるところでした。

 ナプキンは丸めて中の見えない、今回は本屋の袋に入れました。下着も一緒にしておきます。上にもっていったらガムテープなんかで封をしておきましょう。


 次はお腹の穴から包丁を差し込んで膀胱から中身を抜いてしまいます。ひっくり返したビニール袋にのせたナプキンを何枚か敷いて、その上あたりで膀胱に穴をあける作戦です。ただあまり出ないような気はします。腎臓側が切れてしまっているので出ちゃうもんは出ていると思うんですよね。

 そうですね。やっぱり包丁を指して傾けてもほとんど出ません。ほんの少し出てきた分はさっきの袋に一緒に入れておきましょう。


 このまま膀胱を切ってしまいましょう。内側から包丁を差し込みぐりぐりと切っていきます。多少汚くなってもいいでしょう。気を付けなければいけないのは、ほんの少し残っている大腸ですね。

 慎重にやりすぎた結果、結構壁がお腹の中に残ってしまいました。まあいいでしょう。


 この後は外側から性器を切り取っていきます。掴んで切って、持ち替えて切っての繰り返しです。何も考えずに進めたいのでここは割愛ということにします。


 ついでにのこっていた直腸まわりも切り取って、それぞれ袋にしまっておきました。直腸の袋はクーラーボックスに、ほかの袋たちは冷凍庫にもっていきましょう。

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