奨学生2


各地域の統括陰陽寮奨学生たちは悪鬼を退治するために準備を始めた。

みんなで同時に護符を上に投げて晴明斑紋を描いた。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前 急急如律令」


「邪気がますます強くなってきてるな。とりあえず、冬馬さんと合流出来ればいいんだけど…」

すると、後ろから物凄い邪気がこちらの方に近づいてきてることに気がついた。


「なんだ!! あの邪気は…」


「とてつもないね。あれは邪神かな?」


「多分ね。元はここの土地神だったのに…」


「どうしようね。俺たちじゃまともな相手にならないだろうし、かと言ってここを通す訳にもいかないよな。」


「うん、だね。」


「どこまで抑え込めるか分からないけどやってみる価値はあるよね。」

奨学生たちは邪神を攻撃するために強い邪気を感じるところに向かっていくと一人の少年が邪神を押さえ込んでいた。


「紅月流陰陽術 聖光剣舞せいこうけんぶ

聖なる光を纏った剣が四方八方から飛んで来て邪神のあちこちに刺さり、ダメージを与えていき、手足に深く刺さって身動きを取れなされている状態だった。


「ふぅ これで一時的だけど身動きを取れなくしたけど… どう倒そうか。ねぇ? そこにいる君たち」

冬馬が指を指した方向には奨学生たちが隠れて様子を伺っていたところでバレていた。


「バレていたようですね。どうも、初めましてあなたが紅月冬馬さんですか?」


「うん、そうだけど 君たち、ただの陰陽師では無いことは分かったよ。」


「お察しのようで 私たちは各地域の統括陰陽寮奨学生です。」


「なるほどね。」

陰陽寮には寮生と奨学生という2つがあり、寮生は入学試験を受け、陰陽師としての素質や能力などがあることが認められた学生のこと それに対して奨学生は元々、陰陽師としての素質や能力などがあり、入学試験で優秀な成績を修めた学生のことである。


「元神クラスをこんなにあっさりと身動きを取れなくし、行動に制限をかけるなんて流石ですね。」


「ありがとう。君たちは奨学生なんだよね?」


「はい、私たちはそれぞれの統括陰陽寮から選ばれた奨学生になります。実力は折り紙付きです。」


「そうなんだね。じゃあ、君たちにはもうすぐここにやってくる悪鬼たちの対処をお願いしようかな。」


「了解しました。」


「僕は邪神を倒すから君たちは悪鬼を倒すことで実力を見ようかなと思うよ。それに陰陽師の先輩たちもこちらに応援として駆け付けてくるだろうから取り残しても大丈夫」


「はい!!」

周りの悪鬼が邪神に向かってくる。


「結構、来ました。」


「邪神が呼び寄せたのか邪気に釣られたのか分からないけど好都合なのは確かだよ。」


「一瞬で片付けますよ。二階堂流陰陽術凍雹ノ太刀氷柱切りとうひょうのたちつららぎり

空気中の水分を一瞬で凍らせて雹にして剣に纏わせ、太刀とし敵を凍らせて切ることが出来る。


「へー 二階堂流陰陽術を久しぶりに見たけど凄いな。」


「私達もやります。」


「木戸川流陰陽術神雷獅子しんらいしし

雷が獅子の形をしており、敵を攻撃する際、物凄い電流が周りを覆うため一気にダメージを与えることが出来る。


「数は減ってきてるけどまだまだ集まってくるな。」


「距離的にダメージを与えにくいところにも悪鬼はいるから長距離にもダメージを与えれば全滅させられると思う。」


「私がやりましょう。原流陰陽術爆紙鳳舞ばくしほうぶ

悪鬼に触れると爆発を起こし、近距離、遠距離関係なく無差別にダメージを与え、最後には悪鬼が多いところで大爆発する。


「なるほど あれなら距離は関係無いね。僕も終わらせないとね。紅月流陰陽術煉炎銃れんえんがん

煉獄の炎に包まれた弾はどんなに硬い皮膚をも貫き、炎のダメージと貫かれた時の地獄のような苦しみを与える。

邪神は頭を貫かれて倒された。邪神が倒されたことで悪鬼も姿を消した。


「流石、十二天将一位の騰蛇様です。」


「結果的には悪鬼逃げられたけど邪神が倒されたことでしばらくは大人しくなるだろうから安心だな。」


「はい、私たちもこの場に立ち会えて騰蛇様の技を見せていただいたので凄く嬉しいです。」


「それは良かった。さて、買い物に行かないとな。君たちも付き合ってよ。」


「はい!!」

冬馬と奨学生たちはスーパーに向かい、大人数で食べられるカレーの材料と生活必需品などを購入して家に帰った。


「ただいま 麻琉いる?」


「ふぁー おかえりなさい」

目をこすりながら歩いてきた。

その上にはルナシーたちもくつっいていたが気にしていない様子だった。


「この子達は?」


「あぁ、各地域の奨学生たちだよ。どうやら僕の指導を受けに来たみたいだよ。」


「そんな通知来てないけどね。全く何をやってるだか… 将太は…」

呆れた様子で首を傾げ、部屋へと戻って行った。


「あの…冬馬さん あれは?」


「麻琉の頭に乗ってる子かい?」


「はい…」


「あの子は仙狐だよ。僕が今朝、保護してここに連れて来てる。まだ、陰陽庁に伝えられてないけどね。」


「なるほど」


「立ち話もあれだし、とりあえず、家の中に入ってカレーを作ろうか?」


「はい お邪魔します。」


「みんなの部屋は上を使って トイレもお風呂もあるよ。」


「了解です。しかし、この家大きいですね。」


「まぁ、3人で住むには大きすぎるんだよなぁとも思うけどね。よし、女の子たちはキッチンに来て手伝って 」


「はい」


「男の子たちは部屋のお掃除をして欲しいかな。一応、綺麗に掃除したと思うけどよろしくね。」


「はい」

冬馬の家に来た奨学生たちは新しい生活が始まる。

次回、妖怪の世界

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