第2話

「じゃあ、けいくんどう責任取るのかな?」


 正座している俺を、あからさまに怒っている顔で、見てくる女子は笹原結衣ささはらゆい

 可愛いから怒っていてもそこまで怖くないのが難点だな。


「やっぱり怒ってるのか?」

「当たり前でしょ! こんな事を問い詰めてる場合じゃないけど、流石に着替えを見られたら、それどころじゃないの」

「で、でもな結衣。俺、お前の裸なんて見たことあるぞ。それに比べたら着替えくらい……」


 小さい頃は一緒にお風呂とか入ったこともあるし。

 しかし俺がそう言うと白い肌がカァーと赤くなり、

「け、い、く、ん……」

「は、はい……」

「それは……小さいときの話でしょ!!!」


 怒鳴られてしまった。


「あ、あの結衣さん」

「……」

「どうにか機嫌を戻してくれませんかね」

「どうしようかなぁ……」

「何でもしますから」

「本当!」


 プイッと横を向いていた結衣は桜色の髪を揺らして、何かを期待したような顔を向けてきた。


「ああ、俺のできる範囲なら」

「なら!」


 そう言って俺に寄ってきた。

 (ちょっと近いっす結衣さん)

 そんなことを心の中で思いながら結衣の話を聞いた。


「久しぶりにけいくんの、エビフライが食べたい!」

「はぁ。別に良いけど。俺が作るより結衣が作った方が美味しく作れるだろ」

「えっ! 嫌なの?」

「いえいえ作ります。作らせて下さい」

「よろしい」


 俺は急いでキッチンに向かった。


 確かエビフライの材料なら親が持たせてくれてた気がするな。

 何でエビフライの材料をピンポイントで……。

 まあなんとなく予想はつくけど……。


「よし! 出来たぞ!」

「やったー。久しぶりに食べるよ。けいくんのエビフライ」

「至って普通のエビフライなんだけどな」

「私はこれが一番の好物なの」


 そう言って早速エビフライを口にした。


「あっふ、あっふっ。もぐもぐ、もぐもぐ。ごっくん」

「美味しいか?」

「うん! ほらけいくんも、あーん」

「はいはい、あーん」


 俺もエビフライを食べた。

 うん普通のエビフライだな。

 その後も結衣はエビフライを美味しそうに食べた。


「ごちそうさまー」

「お粗末さまー」


 ちょうど夜ご飯の時間だったこともありすぐに食べ終わった。

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