第10話 灰色の世界

女の子は幸せであるように願った

そのように在った

暗い記憶に鍵をかけて

明るい思い出はおもちゃ箱に

その時私は幸せな女の子でいられた


自分を不幸であると考える子がいた

暗い記憶はたくさんあって

明るい思い出は塗りつぶされて

自分は闇だと

でも明るく振る舞えばそれでいいと、そう在った

不幸な子供は闇を肯定するために光を軽んじ

幸せな女の子は闇から目を背けた

どちらもあっていいことを、2人は忘れた


忘れられた灰色も また世界の1部であったのに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る