部室での出来事

 休日でも学校に行くことがあるが、それは至極簡単なことである。


 自分の趣味でもある小説の作成にするのに部室が落ち着く時もあり、家でも十分に可能なのだが、今は春夏がいてたまに構ってくれモードがある為に集中が途切れるのがあるので、集中したいときは部室ですることにした。


「家だと春夏も相手しないといけなくなるからな。まさに『二兎追う者は一兎も得ず』ってことになってしまうからこうゆう時に部室があるのは助かるな」


 別に春夏が邪魔なわけではない。


 春夏を構ってしまって書くことに手を回す気が無くなってしまうのだ。


 けど、春夏が孤独になることはない。


 実を言えば、今日みたいな日は夏美がうちでゆっくりしているから、母の話し相手も兼ねている。


 どうやら、母が連絡を入れて夏美がそれに応じているようだったが、お互いが良いと思っているなら俺が口出しをする気は一切ない。


 すると、急に部室のドアが勢いよく開いた。そこにいたのは……普段、ここに来る人ではなかった。


 そして、その人物たちを見た瞬間に背筋が伸びた気がした。


「おー、いたいた。えっと、犬飼君だよね?隣のクラスの」

「そうです。えっと、確かに新聞部の皆さんですよね。しかも隣のクラスの」

「お、さすが学年上位ベスト5に入るだけの記憶力だね。ってことは名前も?あ、ちなみにうちらはただの新聞部ではなく公式新聞部ね」

「月丘桜さん・雪本葵さん・花村菫さんですよね?」


 そう、この3人こそうちら『春夏秋冬』と双璧?を成す『雪月花』or『花の3姉妹』と呼ばれる3人である。


 この3人は新聞部に入っている。ん?公式?


 意味の分からない単語が飛んできた。思わず、その理由を聞くことにした。


 『雪月花』は本来は掛け軸に描いた絵が多いと思うが、ここの『雪月花』は簡単に言ってしまえば、彼女たちの苗字から取ったグループって認識している。


 もしくは、これまた偶然なのか3人とも名前に花の名前が付いてるので『花の3姉妹』とも言われる。


 大概は『雪月花』の方で呼ばれるらしいが、あまり……基本的に接点が無いので。


 今、俺に話しかけているのは、リーダー?なのか分からないが花村さんで、ものすごく明る人でテンションがいつも高い感じである。


 そして、巨乳だった。


 現在、知り合いの女子の中で一番の大きさである……その次が夏美・凛姉・冬姫という感じである。


 あくまで感じな!


「名前まで憶えているとはさすが」

「あの、公式新聞部って言いましたけど新聞部って1つしかないですよね?なのに公式って変じゃないですか?」

「あー、そこからか。簡単に説明するけど公式新聞部は学校も認めている正真正銘の部活動なの。で、もう1つは非公式新聞部があるのよ」


 この学校には、新聞部は1つしかないのは周知の事実で2つあるとは聞いてない。


「非公式新聞部って……ちなみにその非公式新聞部って新聞は出しているのを見たことないんですが。まぁ、公式新聞部のはたまには見ますが」

「その辺は本人に聞いて欲しいけど、神出鬼没だから無理だろうから私が説明するしかないのかめんどくさい」


 どうやら、その非公式新聞部と公式新聞部は色々とあるらしい。


 非公式新聞部はほとんど発行することはないらしく、寧ろ、なにか楽しむためや新聞部にちょっかい等を出すために作った部らしい。


 承認がないから非公式………納得である。


 新しい所では、去年の文化祭でミスコンが行われていたがあれは非公式新聞部の仕業だったらしい。そういえば、冬姫のやつが去年のミスコンで優勝してたな。


 今年もあるとしたら、それは面白そうだな。

 

 理由は、冬姫と夏美がいるから。


 2人が出ればの話だが………凛姉もいたわ。


「で、私達も非公式に負けないように張り合っちゃうのよ。で、色々やらかして生徒会長に怒られる羽目になったの」

「あー、凛姉があの時荒れてたのは2つの新聞部の所為だったんですね。だから凛姉があんなに騒いでたのか。あれの所為で俺がどれだけめんどくさい目にあったのか」

「ん?凛姉?どうゆうこと?なんで生徒会長の名前をそんな呼び名してるんですか?スクープが1つ増えた」


 あ、限定解除した所為で聞かれてはいけない人達に自分から言ってしまった。


「よし、追求しよう」

「ちょ、ちょっと。今日はあっちのことでいいんじゃないの?そんな一度にしたら失礼だよ」


 俺の失言をスクープネタにしようとしてる所に追撃とフォローが入った。


 追撃をしたのは、小柄でミステリアスな雰囲気がある雪本さん。


 一瞬、中学生かと思ったくらいである。


 ちなみにリーダーは雪本さんだった。


 フォローをしてくれたのは、月丘さんで3人の中で一番思いやりのありそうな子だった。


 それよりも気になったのは『スクープ』という言葉だった。


「え?スクープって何?俺なんも悪いことしてないけど!」

「別にスクープ=悪い事とは限らないよ。ところで犬飼君、昨日ってどこにいた?」

「昨日?ショッピングモールで買い物はしたがそれがどうした?」

「まだシラを切るか。それならこれならどうなのかな?」


 花村さんが一枚の写真を俺に見せてきた。その写真は。


「どうしてこの写真があるんだよ。っていうかこれってどうゆうことだ?」

「いやね、転校生が初日から犬飼君を知っててもしかしたらいいスクープになるかもって思ってずっと追っていたのよ」

「で、昨日偶然私達もショッピングモールにいたら2人の姿があったから激写した」

「ご、ごめんね、悪用するつもりはないから安心して。多分だけど……」


 あのショッピングモールは、うちの学校から遠いほどではないので学校の連中がいるような気がした。


 あそこに行かない限り、春夏のプレゼントが買えないので諦めるしかなかった。


 けど、幸いなのはあの後の写真ではなかったのが唯一の救いで、あの光景を撮られていたらもっと大変なことになるだろうしな。


 それに、月丘さんだとこの2人を止めるのは不可能だよね。


 分かるけど、撮られている以上は言い訳する理由もないから素直に話すことにした。

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