改めて自己紹介

 夏美の家を俺達の拠点にしたいと言って、夏美が了解を決めてくれた日から数日経った日、俺らは夏美の家でのんびりと談笑をしていた。


 今までは駅前のスタボだったり、ファミレスなどを利用していたのだが、夏美が家でも寂しい思いをしないようにと思って、勝手ながら夏美の家を『春夏秋冬』の拠点にしたのだ。


 うちでも問題はないのだが、今後の事も考えると今回の方がいいと思った、それに夏美が家に来るのは、義務化してるので先に進むには意味がないのだ。


「ねぇ、そういえば夏美ちゃんの誕生日っていつなの?6月から8月だったりする?」


 突然に冬姫が夏美に問いかけてきた。


 考えたら俺達は夏美のことあまり知らないな。


 この際だから、お互いのことを知る機会としては丁度いいかな?


 そう思った俺は、みんなにある提案をしたみた。


「なぁ、折角だから改めて自己紹介とかしてみないか?グループに入ったとはいえ誕生日や他のことを知るには、丁度いいと思うんだがどうだろうか?」


 その提案にアキは爽やかな顔で。


「いいんじゃないかな。これから4人で色々やって行くんだから知ることも必要だね。さすがハル。うちのブレーンだわ」

「そこまで頭は良くねぇ。平均なだけで大したことないだろう」

「それでもうちらよりは絶対に頭いいよね?」

「ねぇ、ハル君の平均ってどれくらいなの?」


 夏美が俺の頭の良さ?に食いついてきた。


 そういえば、夏美の学力がどのくらいかはまだテスト自体が当面先なので分からなかった。


 ちなみにアキと冬姫は普通って感じである。


 俺はそれより少し上なくらいなんだが果たしてなんて言われるか。


「各教科80点以上かな。とりあえず、それくらいとっておけば問題ないって思ってるかな。運動もどれも人並みには出来るようにはしてある。ただし、絵や音楽は人並み以下か小学生に勝てるかも分からん」


 絵はどう描いたらいいのか分からずにいて、頑張っても無理と実感したので絵に対しては諦めているが、棒人間を描くなら誰にも負けない。


 コナン・ドイル以外には……あれは凄すぎる。


 夏美は、あわあわしながら俺に。


「え、えっと、ハル君?80点以上は平均じゃなくて頭いい方に入るんだけど?しかも『とりあえず』って言ったよね?それって本気出したらもっと取れるってこと?」


 そう、本気というかもっと集中をすればケアレスミスを防ぐことができる。そして、勉強を少し増やせば90点台もいけると。


「うーん、取れるとは思うが今はそんなに取る必要性もないって思って。大学とかに必要なのは3年次の時の成績だから。夏美は?」


 夏美の学力が俺より高いからって妬むことは無い。尊敬するだけの話。


「私は、頑張っても平均80点台がいい所かな?英語が少し苦手で、歴史は好きでいい点とりやすいかな」

「ハルといい勝負だな。うちのブレーンは『平均詐欺』とも呼ばれているからね」

「それは、お前らが呼んでるだけで他は呼んでない。それよりも自己紹介だろ。脱線しやがって」


 思いっきり脱線してしまったが仕切り直していくか。


「それじゃ、言い出しだから俺から行くな。名前は省くぞ、めんどくさいから」

「「「了解」」」

「俺の好きなことは読書・物書き。苦手なことは敢えて言うなら奴と大き過ぎる犬かな。スポーツは小さい球以外の球技は得意。好きな食べ物は揚げ出し豆腐と甘い物全般で嫌いなのはネギ全般。ただし、オニオングラタンは好物だ。ただ、それに関しては突っ込みは一切なしで。以上。改めてよろしくな夏美」


「次は俺だな。好きなことは、サッカーと冬姫。苦手なことはマウントを取ろうとする奴や虫類はダメ。スポーツはハルと同じだな。好きな食べ物は辛い物と麺類全般で嫌いなのは甘すぎる物くらいかな?甘いくらいなら大丈夫だから。以上かな。俺も改めてよろしくね夏美ちゃん」


「よーし、次は私だ。好きなことは、アキとテニス。あ、今は帰宅部だけどね。中学まではやってたんだ。苦手はことは暗いのは苦手であとは傲慢な人くらいかな?スポーツはテニス以外は苦手。好きな物はお肉大好き。嫌いなのは特にないかな。これから末永くよろしくね、夏美ちゃん」


「最後は私だね。好きなことはテニスとお菓子作り。苦手なことは夜と変に強気な人は苦手かな。スポーツは一応どれでもできるかな。運動は好きだから。好きな物は甘い物になるかな?嫌いな物は私も特にはないかな?あ、誕生日は8月13日です。以上かな。改めてよろしくね。ハル君、アキ君、冬姫ちゃん」


 夏美が言い終えると俺らは言い忘れていたのがあった。誕生日言ってないわ。


「悪い、俺ら誕生日言ってないわ。俺が言っちゃうけどいいよな?」

「「よろーーー」」

「俺が5月の20日、アキが10月28日で冬姫が12月15日だな」


 俺が言い終えると夏美は『ん?』って首を傾げた。あれに気づいたかな?


「もしかして、これって名前と誕生日一致してるよね?私達?」

「あー、そういえばそうじゃん。よく考えたらすごい偶然。完璧すぎる春夏秋冬だね」

「冬姫、気づいてなかったのか?」

「だって、誕生日ってアキとハルと両親からなにかもらうっていう感じしかしてないから」

「どうゆう感覚してるんだお前は。まぁ、冬姫らしいけどな」

「そういえば、ハルの誕生日と一緒に食事会もしない?そうすればおばさん達も色々と楽になるんじゃない?」


 冬姫のこうゆう時の頭の回転の速さには驚くばかりだ。多分、楽しいことなら頭の回転が俺以上に早くなるんだろうな。それを勉学に生かしてほしいが。


「ん、ハル?今なんか私の悪口を言ってなかった?」

「安心しろ。心の中で言ってただけだ。気にすることはないさ」

「いや、それ言葉にもう出てたからね。思いっきり」

「それは仕方ないな」

「謝る気もないのね。あんたは」


 また、脱線してるので話を戻す。行ったり来たりはめんどうだから勘弁な。


 すると、夏美が俺に問いかけてきた。


「そうしたら、ハル君の誕生日にお祝いもしたいからその日にしたいな。アキ君と冬姫ちゃんは大丈夫そう?私は帰宅部だから問題ないけど」

「俺はその日だけ部活休めばいいから問題ないよ」

「私も全然大丈夫。夏美ちゃん一緒に色々考えようね」

「あ、本人の意思も聞かずにするのは悪いよね。ごめんね、ハル君」

「みんなが祝ってくれるなら願ってもないからぜひお願いしたいな。なんか悪いなうちのことで色々やってもらって」


 かしこまっているとバカップルから呆れた声が飛んできた。


「俺らは、ハルがいるからこうして冬姫と一緒にいれるんだ。ハルが喜んでくれるなら俺らは出来る限りのことはするつもりだ」

「そうだね、私とアキを恋人同士にしてくれたのもハルだしね」

「え、そうなの?」


 冬姫はそう言っているが俺は特になにかをした訳ではない。俺は惹かれ合う2人を少しだけ手助けしただけのこと。結果的にこうやって一緒にいるわけだしな。


 俺は、密かにこのカップルを羨ましいと思っている。お互いに『好き』意思を出しているし、尊重もしている。そうでなければ学校一のベストカップルにはなれないだろう。このカーストトップカップルに敵うカップルなんて今の校内に存在などはいないのだから。


 という訳で俺の誕生日が食事会と同時に行うことになったのを連絡することにした。するとうちの母はとんでもないことを言い出した。


「そういえば、来月誕生日だったわね。すっかり忘れてたわ」

「おい、息子の誕生日くらいは覚えておけよ。それでいいのかその日で」

「いいわよ。ってどうせなら春夏の誕生日も祝ってあげたら?そもそも誕生日がいつかの問題でもあるけどうちに来た日を誕生日とするなら過ぎちゃってるから今回は春彦と一緒で来年は個別で祝いましょう」

「ああ、母さん。ありがとう」


 電話を切った後に夏美が失念した顔をしていた。


 あー、春夏の誕生日のことを忘れて落ち込んでるなこれは。俺だって忘れたのにどうして自分だけのせいにするのか不思議だ。仕方ないな。


「夏美、もしよかったら今度買い物に付き合ってくれないか?」

「え?買い物ってどこに?」

「春夏の誕生日プレゼント買ってあげないといけないからな。出来たら一緒に選んでくれると助かる。ダメか?」

「ううん、ダメなんかじゃないよ。寧ろ、一緒に行きたい♪」

「ありがとう。夏美はいつもその笑顔でいてくれ。暗い顔は似合わない」


 そう言うと夏美は、何故か後ろを向いてしゃがんでしまった。俺なんか酷いことを言っちゃったって思っているとお隣さんが騒がしい。


「無自覚でやるとはハルはやっぱり天才だわ。俺でもすんなりできるか分からないのに。これでなんでモテないのか不思議で仕方ない」

「無自覚?なにがだ?」

「自分の言ったことにも気づいていないとは天才よりも天然よ。男に『笑顔でいてくれ』なんて言われたら夏美ちゃんみたいなるわよ。普通に」


 不思議に思い、冬姫に問いかける。


「冬姫でもそうなるのか?」

「私だって、あんなノーモーションから来られたそうなるわよ。しかも真顔で言われたらたまったもんじゃないわよ。いい?他の女にそんなこと言っちゃダメだからね。分かった?」


 へぇ、冬姫でもいきなりの対応に関しては普通に乙女になるという訳か。


「ああ、分かった。ただ、女子と話す機会ないから大丈夫だろう」

「「こりゃ、ダメだ」」


 呆れられてこの話題は終了した時には、夏美はなんとか通常運転に戻っていた。


 素直なこと言っただけなのになんでだろうな?乙女心は複雑だ。俺は、もう一つの提案を言うのを忘れているのに気付いた。


「あのさ、実はもう一つだけ提案があったんだわ。いいかな?」

「んーー?他になんか決めないといけないことってあったけ?」

「俺らは、今後4人で動いたり、色々とする訳だし出来たら対等でいきたいっておもってるんだけど」


 これは、夏美だけの為じゃない、俺達が今後も仲間として過ごしていくのに余所余所しいのはおかしいと思っただけ。


 当然、イケメンは俺の考えてることなんてすぐにバレるだろうけどな。


「要は、名前に『君、ちゃん』をつけないってことか?そうだな良いと思うぞ」

「私もそれには大賛成。私はそうしたいな。ダメ?夏美?」

「入ったばかりの私がみんなと対等って変じゃない?」


 入ったばかりでも、必要と思うなら早めに慣れた方がいいのだ。


「変なわけあるか。長くいるなら対等になることも必要なんだ」

「対等……そうだよね。ずっと一緒にいるならいつまでも余所余所しいのは悪いよね分かった。ハル、アキ、冬姫、よ、よろしくね」


 アキは、言い換えることに躊躇ないがないが、夏美は少し抵抗がありながらも俺達をちゃんと呼んでくれた。


「これで、また一つ団結力が固まったな。さすが我らのブレーン」

「それ、絶対に褒めてないやつだろう。全く。」


 来週からは色々と忙しくなるけどそれもまた一興だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る