第44話 国王の目的とキングスレイヤー
ミルフォード国王の足元には何かが居た。
それに対してなぜ今頃気づいたのか、七つの大罪のメンバー達が預かったはずなのに、なぜその事を言わなかったのか。
「どうして、なぜ?」
突如それは起こった。七つの大罪達がそこでうずくまるのだ。
まるで頭の中で何かを操作されているような。
「無駄じゃぞ、そやつらはわしの術中にはまっておる。そしてこの破滅竜が手に入った瞬間、全ては終わった」
勇者と玲子が前に出てくると。
「これは僕たちの仕事」
「その通り」
勇者の剣みたいなものを握りしめる勇者は、ごくんと唾を飲み込む。
「これは勇者の剣みたいなものじゃない、なぜなら本物の剣なのだから」
勇者の強くなりたいという気持ちを増幅させているのが、どうやら隣にいる玲子なのだろう。
超能力とは色々な事が出来るのだとこの時初めて知った。
右手に光るは勇者の剣を握りしめて、一歩また一歩と玉座に近づく、
その時冥王と玄武と俺様が動いた。
俺様は勇者を七つの大罪から守るため、玄武と冥王は他の七つの大罪から玲子を守るため。
誰もがまさかと疑った。
その為冥王の右胸には大きな穴が出きている。冥王の右胸を貫いたのはサリィーであった。
玄武の方も左肩を両断されている。玄武の左肩を両断したのはネメであった。
勇者に仕掛けたのは、ゴーナ姉さんだった。その時のゴーナ姉さんの武器は長刀のようなものであった。ゴーナ姉さんは色々な武器を扱える事が出来る。
傲慢のルシュフ、嫉妬のレイディー、怠惰のベリー、色欲のサキュラは上手く乗っ取りから解放されたようだ。
一方で憤怒のサリィー、暴食のネメ、強欲のゴーナが操られている。
共通点はステータスに存在していた。
操られる事が出来たのは治療が少ない奴等だけだった。
知力がある大罪達は無事であったのだから、恐らく洗脳系の技はこちらの知力によって食らうか食らわないかが決まるようだ。
「ふむ、七つの大罪が3名手駒に出来てよかったのう、そうじゃわしの目的は先程も行ったがこの破滅竜じゃ、破滅とは終わり、という事は誕生も意味する」
「誕生があり破滅がある。この破滅竜は別名誕生竜とも呼ばれ、食べる事により不老不死を得る事が出来るのじゃ。まぁ全ては計画通りにはいかないが。お前達が奴隷を解放した時点で誤算続きじゃ、そしてお前たちが馬鹿なのはおめおめと破滅竜を運んできてくれたし、洗脳で3名もの七つの大罪を支配に置けた。これで世界を統一する事も夢ではあるまいなぁ」
「そこまでか? お前のどうでもいい話はそこまでか?」
「無礼者、父上が話しているじゃないか」
「終わっている? それはあんたらのほうじゃないか? どうやら聞いてないみたいだな俺の力」
「普通の冒険者でありましょ、あっはっは」
「先程から皇太子と皇女殿下黙ってくださいませんか?」
「「な、なんですとおおおお」」
「ぐぐうううう、もう終わっていたのだな」
その日誰も殺すなといった男は怒りに任せて、頭の中にいる冷静な自分を見つめて。
このような独裁者がいるから、世界は可笑しくなる。
前世を思いだしていた気がする。
そこでは戦争が起きて、偉い人の為に戦って。
偉い人はこちらのことなんてどうでもいいと思っていて。
「あ~あ虫唾が走る」
ゴキンゴキン。
透明な腕によって王様の首はだらりと崩れ落ちた。
きっと不老不死になる前だったから、死ぬはず。
皇太子と皇女と妃と第二皇女が悲鳴をあげる。
「こいつらがいるからあああああ」
ごきんごきんごごきんごきん。
まるで透明な蛇のように、
ナナリア妃、ジスフォード皇太子、ケイリア皇女、ネネリア第二皇女は死亡した。
この時。僕には拭っても拭っても消えない称号出来た。
【キングスレイヤー】という称号が備わったのだから。
その場で膝を落とす僕はようやくとんでもない事をしてしまったのだと気づいた。
だが不思議と後悔はしていない。あの王様達が人の人生を狂わせてまで手に入れたかった破滅竜、不老不死を手に入れて、全ての国を支配に置きたいという欲求。
そう言うものは人間として誰でもがあるものだと思う。
僕が王族を皆殺しにしなければいけないと思うのもしかりであった。これからこの国はどうなってしまうのだろうか、自分の勝手な判断で皆殺しにした。
しかしこのまま見過ごせば沢山の人々が死んでいくだろう。
それならと自分の判断が正しい事を裏付けたくなる。
だがケジメがあるのだ。
「なぁ、俺様は正しい事をしたのだろうか?」
すると先程まで洗脳されかけていたサリィーとネメとゴーナがこくんと頷く、1人また1人と頷く、そして勇者と玲子までも頷き、冥王と玄武も頷いた。
「正しいとは限らないかもしれんな、だがここではこれをしなければ次から次へと霧の無い地獄の登場ってこったな」
「そうじゃ、わしや冥王の世界では平気で王を殺し次の王となる時がある。わしは考えたがお主が王になるのがいいだろう」
「だが僕はそんな血筋は」
「血筋は関係なかろう、逆に王のいない国にして統治者を複数に分けるという事も彼女じゃて」
「未来が見えました。ミリーシャ王国の冒険者ギルドに向かいましょうお。そういう啓二なのです」
「玲子の超能力は当たる。早く冒険者ギルドに向かおう、王族の死体は誰かが掃除してくれるだろう、そしてとんでもないパニックになるだろうけどね」
勇者山中が頷いていた。
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