第15話 ゴミスライム

【魔剣:高機能掃除機】を真上に上げた所で、 

 ゴミ魔王はゴミではないので吸い込む事は出来ない、

 それ自体がゴミの現況だとしても、

 ゴミモンスターは分からないが、

 そんなモンスターは聞いた事がないのだが。


「そこが弱点だ小童―」


 俺様はさらなるイメージ、

 ゴミ魔王のゴミの拳が到達するまで残り3秒。


 全てはそこで終わる。

 だがそれは逆を返せば全てを終わらせる事が出来る。

 それも俺様の力で。



【魔剣召喚】を発動させると。


【魔剣:高機能掃除機】が消滅する。

 

 次に出現した魔剣は、巨大な箒のようなもので、

 箒の先っぽに沢山の綿が付いている。

 これはなんだろうかと思っていると。  

 既に2秒が経過し、残り1秒で俺様は朽ちる事が決まっている。


【魔剣:モップ】


 なんかすごく弱そうな剣だが、

 それ以前にどことなく槍のようにも見える。

 


 そのモップを容赦なく、振り上げた。

 そこにはゴミ魔王がいて、

 ゴミ魔王の顔面にモップの綿がぶつかる。

 とてもこちょばゆいものだったみたいで。


 思わずゴミ魔王はそれを払い飛ばす。

 だが次から次へと繰り出すモップに、ゴミ魔王は苛立ちを覚えている。


 どうやら魔剣:モップは防御系の剣のようだ。

 

「しつこいのう小僧」

「そうでもないさ、俺様と7人の美少女達がいれば、俺様はなんだって出来るのさ」


 憤怒のサリィーが長い槍を構えて、こちらに突撃して来る。

 その後ろからは暴食のネメが涎を垂らしながらほぼゾンビみたいに変な走り方で沢山のナイフを投げてくる。


 全てのナイフはゴミ魔王に飛来したのだが、

 それをゴミ魔王は瞬く間にゴミを飛来させ、

 弾いて見せる。沢山のゴミが飛散している中で、

 俺様はそれを召喚していた。


 頭の中でゴミ魔王をぶち倒す事が出来るであろう、魔剣を。


 モップを解除すると、

 次に現れたのは、

【魔剣:死の宣告】

 それはナイフのように小さい魔剣であった。

 正し、そこから延びる2本の刃、

 その刃はまるでハサミのようでもあった。


 しかしハサミではなく、その長さは、遥かに長い、 

 ロングソードよりも長く、槍よりは短い。


 ゴミ魔王は憤怒のサリィーと暴食のネメに夢中になって、ゴミを投げている。

 ゴミ魔王はげらげら笑う中、


 俺様は彼の背後から、

 まるで暗殺者のように、

 ゆっくりと歩く、

 その刃を突き刺した時。


 俺様はそうか、これが知恵ある者を殺すという事なのだと。

 ようやく認識していた。


「がは、後ろから突くとは、なかなかの気配抹消だのう、ふ、ふふ、わしはここで終わるようじゃ、ありがとう、わしは魔王として長く生き続けた。そろそろ隠居する事も考えていたが、あの世への隠居としゃれこもう。じゃあな若造」


 そしてゴミ魔王は沢山の光の結晶となって消滅して行く、

 その光は俺様の体の中に入ってくる。

 

 光に纏わりつかれた不思議な感覚。

 それはとてもとても暖かい光で、

 以外とあっけなく倒せてしまった事、

 それを可能にしたのは恐らく魔剣:死の宣告の力、

 あれは死を宣告するように攻撃出来るのだろう、

 それも相手から意識を外させる程に、


 あんなに最強な魔剣が何度でも召喚したい、

 そう思ったのだが、

 

 魔剣:死の宣告は右手から消滅していた。


 このダンジョンそのものが光に包まれていく、

 そして1個の宝箱が出現すると、 

 アナウンスのような音が響き渡った。


【おめでとうございます。ゴミダンジョンを攻略しました。攻略者はリュウケン様でございます。ゴミの魔王の遺産を受け継ぐ権利があります。そしてこれは全ての大陸に流される放送と思ってください】


「え、ええええええええええええええええええええええ」


 俺様から僕に戻っていた。

 俺様として戦ったのだが、色々とこのモードになり続けるには疲れが溜まってきた。

 なので俺様は僕になるのだ。


 僕になったその瞬間、そのアナウンスは響いた。

 それでは僕がこのダンジョンを攻略したという事が、世界中に伝わるという事だ。


 それは僕を殺しに来る人達が多くなるという事、ゴミダンジョンの魔王の遺産が欲しい人はきっと沢山いるだろうから、


 僕はしょんぼりとしていると、

 僕の前に宝箱を持ってきてくれた憤怒のサリィーがいて、その後ろで涎を垂らしている暴食のネメがいて、傲慢のルシュフは背中を痛めたらしくレイピアを杖替わりにしている。


 嫉妬のレイディーはこちらに一刻も早く抱き着きたいようだが、

 右足を負傷しているみたいだ。

 それをルシュフが【傲慢の癒し】というスキルで回復させているし、

 自分自身も回復させている。


 怠惰のベリーは俺様の背中で眠りこけている。

 こいつ役に立つのか? という疑問を抱きながら、

 役に立つとか役に立たないとかそういう問題ではなく、

 このベリーという美少女も1人の仲間なのだから。


 強欲のゴーナと色欲のサキュラはそれぞれ周りを観察している。


 僕は下を向きながら座っていたが、

 立ち上がった。

 全員がこちらを見ており、

 そして彼女達は人間ではなく、ボスモンスターだろう、

 という事は、先程の放送の時に攻略者の名前で彼女達の名前は出ていない、


 それは1つの希望だ。


 もし略奪者がいたら彼らは彼女達最強の7人の事をしらない、

 というよりかは、僕自身も最強だ。


「さてどのような遺産が」


 僕は宝箱を開いた。


 すると信じられない大量のアイテムが僕のアイテムボックスに自動的に流れ込む、

 それもゴミを排出しているかのごとく、


 それはゴミ魔王がゴミだと思って選別していたら、

 使えるアイテムとして選んだアイテム達だった。

 20個のアイテムがなんのアイテムからは理解出来ない、

 時間があれば1つずつ鑑定眼鏡で確かめて行くことにしようと、決意する。


 最後に金貨、銀貨、銅貨の膨大な量が流れ込む。

 その数は【1億金貨、1億銀貨、1億銅貨】


 そのありえない額に、僕と七つの大罪達は驚きの視線をこちらに向けていた。

 ここから成り上がる事が出来るだろう、

 既に成り上がっている気はするけど、


 とにかく、これで僕を嵌めたあいつらを見返してやることが出来る。


 くっくっくと僕はにやりと笑いながら、


 そこにある全ての生命が光の粒子となっていく、

 それは全ての物体ではなく僕と7人の仲間達が一緒に消滅していく。

 その時僕の顔面に何かが張り付いた。

 次の瞬間1000階層からテレポートした僕たちは、ゴミダンジョンの入り口に立っていた。


 なぜか僕の顔面から落ちたへんてこりんな四角いスライムを見て、唖然とする。

 それはゴミスライムというモンスターであったのだから、


 それと強制的にテイムしてしまったようで。


「きゅい!」


 こっちを主のようにしてくる訳で。


 後ろを振り返ると、ゴミダンジョンは出現した状態だが、

 まるで機能を停止したかのようい暗くなっている。

 それはまさにゴミのダンジョンというよりかは廃墟のダンジョンと言えるだろう。


 周りには七つの大罪達がいて。


 皆こちらを見ている。

 そして彼女達は初めて見る大地に、

 そして青空に太陽に、雲に、沢山の鳥に、森に、岩に。


「「「「「「「ふえええええええええん」」」」」」」


 その場にいる7名の美少女達は泣き出したのであった。


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