第13話 ゴミ魔王の本当の姿
ゴミを破壊しても、破壊しても、
遥か高い天井からゴミが落下してくるのだ。
「ルシュフとサキュラで上から落ちてくるゴミ達を何とかしてくれ」
「まったく命令する時は腰をへりくだってするものだ」
「お願いしますルシュフ様」
「よろしい、そういうお願いなら許そう」
「あちしは任せて、空を飛べるのも吸血鬼の利点だしね、ただし飛んでいるからって下からスカートの中見ちゃだめよ」
サキュラがいやらしい笑みを浮かべている。
それは誘っているという事なのか?
それとも見たら殺すという事なのか?
逆に見なかったら殺されるとかないよな?
という事で見ない事にしました。
上は何とかなった。
後は壁の向こうから土管みたいな所、
そこから沢山のゴミが流れてくる。
色々な世界のゴミのようだ。
村で見た事も無い物や、街で見た事も無い物ばかり、
まるで異世界と呼ばれる場所から送られてきているようだ。
ここは巨大な憤怒のサリィーと暴食のネメに任せる事とする。
「サリィー君はサタンドラゴンになって、土管から出てくるゴミを押さえてくれ、ネメも頼む、恐らくここで勝利すれば、地上に戻って沢山の飯が食えるぞ、俺様の魔力だけではなくてなぁ」
「まったくちゃんと指示するのよ、あなたに死なれたらあたし悲しいんだからね」
「もちろん俺様は死ぬ事は無いさ、いつものツンデレはいいね」
「僕たっくさん食べる。ハンバーグにねえーエビフライにねーお刺身も食べたい、それとねー」
「分かったよ、食わせてやるぜ」
「やたー」
サタンドラゴンとベルゼケルベロスは土管から吐き出され続けるゴミ達を処理し始めた。
次には。
「レイディーとゴーナ姉さんで掃除してくれゴミ達を」
「はわわあわ、王子様から命令がきたのですわ、この水賢者として、今回はマーメイタンの活躍ではなさそうなのですです」
「ふっふーこういう怪力仕事なら任せなさい、片っ端からゴミをお仕置きしてくれるわ」
嫉妬のレイディーと強欲のゴーナが暴走している訳ではないのだが、暴れ出している。
ゴーナの爪が次から次へとゴミを両断している。
あの中にゴミ魔王がいたら即死だと思いつつ、
レイディーは水賢者なので、水魔法が得意とされており、
水を召喚しては、至る所に散乱しているごみを洗い流す。
ちゃんとゴミを捨てる巨大な穴もあり、
そこに流されて行く。
何もしていないのは現在爆睡中のベリーであった。
彼女は怠惰の七つの大罪の為、
仕方なく見ていたが、
しかし彼女は起きていたのだ。
「ここからの分析は任せて、回復もね、その為にあなたにくっついているのだから、ふぁあああ」
「ど、どうした、そんなにテキパキしてたか」
「ベル様はこういう時の為の切り札だと思って、ベル様はその為にあなたにくっついて、情報を集めていた。あなたと現実との繋がりなど、ベルフェニックスの力とは全てを知ること、それは長い歴史の元で、フェニックスとして何度も蘇り……」
なんだか長い話になりつつも、
「という事で、あそこにいるわ、ふああわああああ」
「なんだかんだですごい欠伸だなぁ」
「ふっふっふー悪いかしら? それとも良き事かしら?」
「すみません、良き事だと思います」
「あそこに移動したわ」
「了解、君が小人族で良かったよ、だって人間サイズでずっと背負って戦える訳がないよ、まぁ今の僕には関係のないことだ。なぜなら肉体強化があるのだから」
「それでも無駄な疲労がなくなっただけ良かったじゃないさ、ふっふっふー」
俺様は走り出す。
もはやゴミは数個しかない、
変な形のしたゴミを竜魔人の剣で両断して行く、
そこにいたゴミ魔王は老人の姿だった。
それはいつものゴミ魔王の姿と変わらないはず、
だがどことなく何かが違うような、
そのゴミ魔人の瞳は沢山のゴミで埋め尽くされていたのだから。
彼の瞳に写す物は全てがゴミでなくてはならない、
全てのゴミをガードするという事は、
彼から楽しみや希望を失う事、
普通の人間なら落ち込む程度。
だが魔王はそうなのだろうか?
何千年と生きているゴミダンジョンの魔王はにやりと口を釣り上げると。
そこにゴミの化け物が出現したのだ。
沢山のゴミを融合させたような。
「君たちが捨てたゴミはちゃんとしたゴミ箱だったかな? そこはわしの世界と繋がっているゴミの入り口、ゴミしか入る事が出来ないとされる場所、わしはそこに一々ゴミを入れる事がめんどくさい、だから君たちに入れてもらった。何個か粉砕されてしまったがね、老人の姿はもう1人の姿、もう1人の姿は、ゴミそのもの、さぁ、君たちをゴミの仲間にしてやろう、ぐひゃははっははははあは」
「ようは掃除をすればいいのですって事ね、まったくリュウケンの言うとおりにしたら最悪な方向になったわんぇえ」
憤怒がにやりと笑いながら、サタンドラゴンの姿を解除すると、人間の姿になる。
槍を構えて、相手を見据える。
「はやく仕留めるんだから、あたしの前にはバイキングが待っている。ハンバーグとエビフライがあああああ」
暴食は地団駄を踏みながら、沢山のナイフを構えている。
トレジャーハンターはゴミ魔王のトレジャーをするより、バイキングが食いたいらしい
「まったく、やはりわたくしに命令させる訳にはいかなかったという事ね、プライドが許しません事よ」
傲慢は右腰から白いレイピアを抜き取ると、左腕に装備されている小さな丸い盾を構える。
「王子様に振り向いてもらえる為ならがんばるです」
嫉妬は俺様に振りむいて欲しいがために頑張るのか、杖を構えていた。
「ベル様の言う事をちゃんと聞いてね」
怠惰はいつもの眠りモードではなく、
覚醒した状態で、こちらを司令塔にしてくれる。
「まったく心高ぶる武者の如しですわね」
強欲は両方の手に爪の装備をして、
それで相手をぶっ倒す為に動き出す
「よっしゃああ、あいつをぶっぱなして、あたらしい地上にでるんだあああ」
色欲は夢に希望をはせながら、翼と牙を武器に空を飛翔しまくる。
七つの大罪と僕は強い絆で結ばれているのかもしれない、
それでも今俺様が僕として、僕が俺様としてやらねばならない事。
それは。
「お前をめったんめったんにぶち倒すぜゴミ魔王」
魔王の1人を倒す、
それが最初の目標なのだから、
永遠とも思えたダンジョン攻略、誰も果たしたことのないゴミダンジョン攻略は、あともう少しであった。
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