第8話 怠惰は卑怯
その怠惰のベルフェニックスの不意打ち攻撃に、
俺様はあっけに取られるしかなかった。
気付いた時には壁に顔面からめり込み、
ボロボロに崩れた壁の石を払いながら、立ち上がる。
もしここに到達する前にレベルが上がっていなければ死んでいただろうし、
恐らくだけど、傲慢のルシュフと嫉妬のレイディーをテイムする事により、
レベルも上がっていたのだろうし、
ここまで来る途中で沢山のモンスター達を倒しまくったという事から、
現在のレベルになっているのだろう、
時間を見計らって、もう一度鑑定眼鏡で自分を調べる必要があると思いつつ、
今はこの卑怯者をどうにかしないといけない。
「ふっふっふーこのベル様の最高なる仕打ち攻撃、いかがいたした!」
「ああ、とっても気持ちいいぜ」
「ふっふっふー君はマゾかね? マゾだね、この黒い力が目に見えぬかああ」
「どうやら怠惰も魔王の力を貰ったようだね」
「この力がベル様をもっともっとと強くさせてくれる、いつか来るテイマーを待ち続けて早100年、貴様がテイマーか見定めてやろう」
「ったく、やるか?」
その殺気、
俺様の瞳から発せられる殺気に、
目の前にいるベルフェニックスは仰天したかのように、
後ろに飛翔する。
「おお、怖い怖い、これがテイマーの資格という奴なのかのう」
フェニックスの姿形を分析する。
体は人間の2倍くらいの大きさでありながら、
右の翼が赤い炎なら、左の翼は青い炎であり、
右と左が違う所を見ると、まるで2つの力を上手く使っているのだろうという気がしなくもない。
右足と左足は鳥のそれだし、
細い物であるが、
右足も左足もヌンチャクのような物を持っている。
恐らく先程あれで右から左にぶん殴られたのだろう。
俺様は拳を固める。
さぁてと、どう料理してやろうか。
とは言え使えるスキルは限られている訳だ。
【前世最強】【乱舞無双】【最強武芸】
今の所で使えるスキルはこの3つだけとなっている。
何も覚えていない頃からと比べると、
最高に今の俺様のスキルを生かしていると思う。
水竜神の剣を鞘にしまい、
腰に装備する。
右手と左手の武神のメリケンサックを装備したままに、
馬神の弓を握りしめる。
「やっぱり鳥には弓矢だよなぁ」
俺様自身が弓の達人という訳ではない、
中の下くらいの腕だが、
それを超越させてくれるスキルがある。
それこそが【前世最強】というスキルだった。
これは俺様が前世最強だったというもので、
その最強であった前世の力を使う事が出来る。
そしてそれは前世の一部の力でしかない、
その力を活用する事により、
圧倒的な弓の技術を手に入れるだけではなく、
【最強武芸】というスキルも発動している事により、
弓術も1つの武芸だと認定されている事に、ほっとしつつも、
【前世最強】と【最強武芸】を使う事により、
俺様は先ほどの、傲慢と嫉妬をテイムする事に成功している。
テイムする基本は弱らせること、
時たま例外はあるが。
弓矢を構える。
「ちょこざいなぁああああああ」
ベルフェニックスが青い炎の翼と赤い炎の翼の火の粉をまき散らしながら、
こちらに真っすぐ激突するように、
すべての力をこの一撃に賭ける。
俺様はそう決めると、
弓矢を引き絞る。
矢は魔法のような矢を召喚している。
しかし普通の召喚した矢ではない、
3本の矢を弓に同時につがえているのだから。
それを引っ張るには相当な筋力が必要だ。
だがそれを補ってくれる物こそが、武神のメリケンサックだ。
どうやら武神のメリケンサックには筋力を底上げする力があるのだ。
すべての駒は揃った。
後は矢を解き放つのみ、
ベルフェニックスはこちらに激突するかに見えた。
そして彼女の怠惰という記憶が蘇る。
さきほどの先手必勝ばかりの秘境技、
彼女は怠惰であるがままに卑怯なのだ。
俺様は弓矢を一本だけ解き放つ。
矢がまっすぐに飛来して行く中、
その真上に反るように矢を2発放つ。
ベルフェニックスは上に上昇していく中で、
こちらが先手必勝を行っていた事にようやく気付く。
気持ちの悪い鳥の鳴き声のような、
断末魔を解き放ちながら、
ベルフェニックスは魔法の矢に激突する。
まるでカモが撃ち殺されたように、
部屋の中の天井に激突すると、
地面に落下する。
あのままでは死にかけない、
俺様は走り出した。石床に音が反響し、
俺様は、ベルフェニックスをお姫様抱っこのように、
っ抱きしめていた。
フェニックスの炎が体をまるで癒してくれる。
彼女はぽんと魔法の薬でも斬れたように、そこにお姫様抱っこされていた。
それはロリ女子であった。
「うにゅにゅ、眠たいのだ」
そういって俺様の両腕の中で眠り始めるが、ある事に気付いた。
「お主やるのう」
そう言ってまた寝た。
どうやらテイムに成功したようだ。
俺様ははぁああと倒れると、
この幼女の姿を分析する。
背丈はドワーフよりも半分ほど小さいし、
見た目的には頭にふわふわの鳥の帽子をつけている。
衣服は茶色いポンチョのような物であり、
靴はなぜか長くつであった。
「彼女は怠惰のベリーよ覚えておいてね」
「まったくベリーはそうやっていつも美味しい所ばかりを食っちゃうのに」
「まったく殿方に対しての免疫がないのね」
「王子様が奪われるううううう」
「この子って」
「そうよ小人族、ドワーフ族より小さいのよ」
「なるほどねぇ」
「さて出発するかー」
「「「「ちょいまち」」」」
その場が凍り付いた。
俺様に問題でもあったのか?
「みんなお腹が空いてるのよ魔力で食べましょう」
「あのうサリィーさん? 僕はどうやって魔力を食べればいいのでしょうか?」
「僕モードになったね、それでは説明しましょう、テイムされたモンスターの食事は基本的に主人の魔力となっておりますのだ。沢山取り過ぎないし、ちょびっとの量で、満足だから、そんなに怒られるかびくびくしないの」
「それはすみません、で、どうやって魔力をあげればいいの?」
「抱き合うのよ」
「それは性的な意味で?」
その場の全員が真っ赤に染まる。
「ちょ、あなたとやるつもりなんかないんだからね、殿方とする時は好きな男性と」
「きゃあああああ、王子様とやれるのだああ」
「なんだそれ美味しいのか、美味しいのなら食わしてくだちゃい」
「みんな落ち着いて、そう言う事じゃなくて普通に抱き着けばいいだけ」
「こ、こうか?」
僕はびくびくしながら、1人また1人と抱き着いていく、
すると彼女達は満足な表情をしていく、
どうやら体の疲労もないくらいのちょびっとした魔力で済んだみたいだ。
「このすやすや眠っている子はどうすれば?」
「知らない、そんなのあんたがどうにかすればいいじゃない」
「サリィーはいつからツンデレになったんだよ」
「基本的に怠惰はめんどくさがりだから、歩くのもめんどくさいのよ」
「それダメ人間っでしょ」
「仕方ないでしょ、そういう仕組み何だからさ」
サリィーの説明にその場にいる全員が頷くと。
「なら背負って行く事にするよ」
「うん、それがいいよ、僕が食べちゃう前にね、でもお腹一杯なのだ」
「改めて出発しよう、それと僕もご飯を食べながらっと」
パンをかじりながら、走り出したのであった。
それを涎を垂らしながら見ているネメがいたことは誰もが知っている事だ。
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