第25話-魔術討撃-

「「「はいっ!!!」」」


 フリード先生が言い終え、魔法訓練室αの生徒は大きな返事をすると、それぞれのチーム同士に別れて、作戦会議を始めた。


 緊張か恐怖か、リープは両目をVの字にして瞑る


「心臓がばくばくしてきましたわ……」


対して、フィーネはもの凄く涼しげな表情だ。


「先生こっちに来るわよ」


 俺ですら、かなり緊張して手汗がダラダラだというのに、フィーネはどこに余裕を持っているのか不明だ。と言っても、普段から魔法訓練を行っている彼女らにとってはどうということはないのだろうか。

 でも、リープは震えてるしなぁ。


「お前は始めての戦闘訓練故、チームFだけは別メニューだ」


「分かりました。ところで、何するのですか?」


 正直、分からない。というか、俺をチームに入れて大丈夫だろうか。


「学園長によるところ、お前の能力は『未来視』だそうだな。その能力を使いこなせれば、支援役としてかなりのサポーターとなれる。しかし、それだけではダメだ」


「と言わればしても、俺は一般の学生で戦闘には程遠いですが……」


「まず、如月には魔術討撃を修得してもらう」


「魔術討撃? 魔法が使えるのか?」


「若干違うな。ライトニング、説明してやれ」


「はい。あきらさん。ここ精霊界ベルディでは体内にある魔力を使うものと、契約精霊の魔力を使うものが一般的ですわ。ですが、魔力がない人でも魔法っぽいものが使えることができますの。それが、魔術討撃ですわ」


「俺でも魔術討撃が使えるようになるのか?」


「できますわ。魔術討撃は大気にある魔力粒子を用いて収集、圧縮して討つことができるちょっとした魔法。でも、魔法と呼びがたくて一般的には魔術と呼ばれていますの」


「へぇーそうなのか」


「今ライトニングが述べている通りだ。魔術討撃をベースに如月には支援してもらう」


 よし。頑張るぞ。

 よくわからないけど、これは身につけておかないとダメな気がする。


「あきらには無理よ」


 突然、すぱっとフィーネは言い切った。


「フィーネ。さっきから俺に対して冷たくないか? できるかもしれないのに」


「先生に提案があります」


「言ってみろ、フリーレン」


「あきらをチームから外してください」


 フィーネが淡々と口からこぼした。

 その瞳は、まるで何かを知っているかのような――


「それは出来ぬ相談だな。この世界で生きていくには必須と言ってもいい術のはずだが」


「そうだそうだ。まだ訓練すらしてないのに、足手まとい宣言は酷いぞ」


「あっそっ。じゃ、訓練付き合ってあげるわ」


 フィーネはほっぺたをぷっくりさせて、そっぽ向いた。


「もしかして、俺のことを心配してくれたのか?」


「ふん! そんなわけないでしょ。まあ、あたしが付き合うまでもないけど」


「では如月。魔力粒子も七種類存在することは認知しているな。火、土、風、水、氷、雷、闇の七種だ。如月に合う魔力粒子を確認するところから始めたいところだが、実際にやって集結しやすい魔力粒子を訓練且つ実践で用いることだ」


 ん~、と唸るフリード先生。


「フリーレン、ライトニング。ちょいと見本を見せてやれ。ターゲットは向こうにある岩だ。あれを破壊しろ」


 先生は生徒たちがいない方の斜め奥にある大きな岩へ指さした。

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