ブラック企業の真の恐怖とは

ここの社長さんは、悪い人間ではない。
作者に気遣いを見せているし、お小遣いもあげている。
ただ自己愛性PD傾向があって、自己中心的で、自意識過剰で、共感性が欠如していて、加齢臭が酷くて、自分が絶対的に正しいと思っているだけなのだ。
そして、ブラック企業の真の恐ろしさはここにある。
悪人であれば、損得勘定で動くのでまだ話が通じる。
しかし、自分が神の如く正しいと思っている人間にまともな話は通じない。
ワ〇ミ、電〇、す〇家、日本〇産、実は全てこのタイプなのだ。

作者は、面白おかしく書いてはいるが、一歩間違えれば犠牲者の列に加わっていただろう。
人は仕事によってどのように壊れ、どのように死んでいくのか、その過程が詳細に描かれており、正に経験者にしか書けない貴重な記録と言える。ブラック企業体験記はあまたあるが、ここまでギリギリなものはそうはない。
労働者のみならず、ブラック企業に対処する全ての人々(NPO、弁護士、行政、医療etc)が読むべき作品であろう。

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