8話目

賑やかで終わりそうもなかった宴は

睡魔に負けた人々の寝息によって終わりを告げた


「今日は寝てられねぇんだァ!」


「朝まで飲み通しじやぁぁぁぁぁ!」


「俺らの元気は夜をも超える!」


などと言っていた彼らは

体力を前半で使い切ってしまい

見事に睡魔の餌食になりぐっすり夢の中にいた


未だかつて〆の言葉もなく

寝息が終わりを知らせる宴はなかった


「……おるぅえ……あさ…まどぅおきて……zz」


「まっだぁ……ねて…られね…ぇ…………」


「ここ……か…うたげは……いまから…………」


壮大な寝落ちで迎えた宴明けの朝


「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」


「ァァァァァァァァァァァァァァァ!」


「痛い…いたいぃぃぃぃぃぃ!」


ラックタと言われるお酒の飲みすぎによる

頭痛によって飛び起き悩む人々がいたそうな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結局訪問した目的である

未だに目覚めないアーリアについて

聞くことはままならず

本日のところは出直すことにした


「すみません…ねすたまあさま…

わた……しがぁあ、しっかりしないがためにぃ」


「いや気にするなありゃ無理だ

あんな明るく歓迎されちまったら暗い話なんか

できっこねぇよ」


「そうですかぁあぁ!それ!はぁ!

よかったれす!たのしんでぇ!いただけーて

わたしわぁうれーしぃ!」


「なぁ、なんでお前酔ってんだ?

昨日一滴も酒なんか飲んでねぇだろ?

ていうか今朝だぞ?空気から酔いを

貰ったにしては長すぎやしねぇか?」


「あはは…ミツって1回酔ったら

素に戻るまで長いんだよね……

それでいて酔ってる時の記憶が全部あるんだよ」


「えぇ………それは…なんとまぁ…不幸なこった」


「でしょー、それで何回覚めた後に悶え苦しんだか

お酒の給仕なんてほかの人に任せとけば

酔わないのに…この子ったら

『私が皆さんのお酒を注いでまわります!

これは私の使命!やるべき事なのです!』

なんて言って毎回毎回同じ目にあって

恥ずかしがってんのに……学ばないんだか

楽しんでんだか……」


「それはなんともどうしようもねぇな…って

おいおいまてまて!そこ川!酔った時に

川んなかはやべぇって!おいフヤとめろ!」


「あああ待って待ってダメー!」


ザッパーン


「ぶくぶく…ふふふふ、ぶくぶくぶくー

ガボッガボッ…あはーはー流れです〜

あははははははははははぁ〜ごぽぽぽぽ……」


「ちょ、沈んでる沈んでる!流れてる流れてる!」


「フヤちょっとアーリア頼む!

俺が行って助けてくっからぁ?!」


ツルっ

ザッパーン、、、ザッパーン、、ザッパーン、


「おわっ!?」


助けに行こうとしたネスタミアが足を滑らせて

川に洛水


「あああああああああー!!」


「あっ、なんで投げるんです

って…この子重っ……あああ!

ね、ねずだみぁぁざまぁ……ばやぐぅぁヴ……」


「い、いい今お前ざまぁって言いやがったな?!

落ちた俺を見てざまぁって言いやがったな!

おま、覚えてろよぉあぉあぁぁぁぁ!?」



「そ、そんなこと言ってない…

ぷッ……ぶふっ……くくくくくくくく……

あはっ、…んんっ!すすすせ。」


「笑ってんじゃねぇ!

なんだその笑い方気持ち悪っ!!」


「なぁッ!う、うるさい!そんなこと言ってる場合じゃないっ!!早く水から出さないとぉぉぉぉぉぉぉもい重いぃぃぃぃイイ……………ばゃぐー!」


「もうちょっと待ってろ!今助ける!」


「り、りょうがぃでずぁぁ!!」


2分後…


「エ、マダェスがぁぁ?!ぢょっ…ううでもげるぅ

うでどれぢやぅヴヴヴ!!ァァァァァァ!!」


両腕でアーリアを抱えてはいるものの

踏ん張るために上を向いているフヤは

今どこにネスタミアがいて

どんな状況なのかを知る由がなかった


4分後…


「あ、あれぇ?!ざすがに長くないですかぁ?!

ぢょっ…ヤヴァ……うで……もげっ……」


6分後…


「もう…さすが…にたす……けてまずよねぇ?!

おかしい!おかしいって!こんな長かったら

死んでますって!」


「お、割と普通に喋れてる、まだいけるな」


小声でそう囁いた


普段なら聞こえているはずだが

今、フヤは叫びながらアーリアを抱えているため

一切声が聞こえていなかった


8分後…


「もヴざすがにやぶぁぃ…ワタシウデモゲル

ワタシココデシヌ、あああ…………」


「あ、これやばい…

もう戻ってきたぞ!もう大丈夫だぞ!」


「…………」


「なっ……こ、こいつ…アーリアを支えたまま

気絶してやがる……ちょっとやりすぎたな…」




アクシデントはありつつも

何とか切り抜け

無事(?)に洞穴まで戻ってこれたのであった。

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