第6話:精霊を怒らせるな、死ぬぞ?

マイケルは言っている事を理解したのか、突然彼女達に攻撃をし始めた。

彼は詠唱を始めたが、ベルベットとレイは近づいて行く…


「ファイアーボール!」


マイケルがそう叫ぶと、数個の火球が彼女達目掛けて飛んで行く。

彼女達は防御もせず彼の魔法を体で受ける。

しかし、ダメージが無い様だ。


「その程度の下級魔法で、私達を倒そうとは…舐められた物だ…で、質問だ、マイケル、お前は何故リヒターを助けなかった?」


マイケルはとぼけ始めた…


「何の事だ!あんな魔法も使えない学生がどうした!」

「へぇ…魔法が使えない事だけでお前は彼の虐めを黙認したのだな?」

「あんな学生、居ても居なくても変わらんだろ!それに奴は死…」


あ、目が合った。


「な…何故!死んだはずじゃ!」

「あー…生きてましたよ?一応」


マイケルは自分が言った事が僕に聞かれて、まずいとでも思ったのか、何か言おうとした…が、ベルベットとレイはそうはさせなかった…


「そうか…お前の本心は分かった…レイ、悪いがきついのをやってくれ、私がやると…この場にいる全員を殺しかねない…」

「ええ…私ももう我慢の限界だったんです…さぁ…たっぷり痛い思いをしましょうね…!」


レイはそう言って、彼へと近づく…マイケルは圧倒的な力の差を感じたのか、逃げ出そうと彼女に後ろを見せたが、黒い何かが彼の足を縛る。


「逃がす訳ないだろ…?」

「ふふ、ありがとう、ベルベット。じゃあ…そろそろ…」


彼女は「ペナンスプリズン」と言うと、白く光る檻がマイケルを閉じ込める。


「な、何だこれは!」


マイケルは自分が閉じ込められた事で焦りや恐怖を感じている。

そんな彼を見るレイは、ゴミを見るかの如く冷たい目つきで、淡々とその恐ろしい魔法について説明し始める…


「ふふ…その牢獄はね、贖罪する為の物なの。貴方が犯した罪の分だけ…貴方は老化していくの、貴方の償い方法は…時間よ。あ、でも安心して、死ぬ手前までだけにしてあげるわ、優しいでしょ?贖罪しきれなかった場合は貴方が死ぬ1年手前にしてあげたの」


そう言うと光の檻が光だし、マイケルが急激に老い始めた。

彼は30代位の人だったと思うが、顔から皺が増え始め、髪が抜け落ち、腰が徐々に曲がっていく、しまいに歯までも落ちた。

その変わっていく姿を見る生徒は悲鳴を上げる。

やっと終わったと思ったら、彼はもう80代位のおじいさんになっていた…


「さぁ、貴方は1年手前で止まったのか、それとも罪を償って終わったのか…どちらでしょうね?ふふふ…虐められた子はね、終わりが見えないの…だから貴方には二つの恐怖を味わって貰うわ、自分がいつ死ぬか分からない恐怖と自分の命があと1年だと知っている恐怖…ふふ」


満面な笑みで言うレイ…自分の精霊だけど…これは怖い。

絶対怒らしたくない、彼女の発言は精神的に追い詰めてくる様な圧力を感じる…


「何事だ!」


騒ぎを聞きつけたのか、初老のおじいさんが学校から駆け足で出て来た。

彼はここの校長先生のノーマン・フォードだ。

特に関わりは無いからどんな人かは知らない。


惨劇をみたおじいさんは絶句した…


「な、何だ…この魔法は…」

「ふふ、光魔法ですよ、おじいさん」

「光魔法だと!」

「ええ、そうですよ」

「お前は…何者だ?」

「私はリヒターの光精霊、レイです、あっちは闇の精霊、ベルベット」


紹介を終えると皆僕に視線が行く…あぁ…平和な学校生活なんて夢のまた夢となった瞬間だ…

すると校長は大声で言った。


「皆、クラスへ戻れ!リヒター君達は残りなさい!」


こうして学校の先生達が無理矢理生徒を教室へ連行し、野次馬は居なくなった。

問題は、レナードとマイケルだ…

レナードに至っては、痛みで未だに痛い痛いと言っている。

マイケルはよぼよぼで、何も出来ない。

そんな二人を見て、校長は…


「元に戻せんか?」

「断る」

「嫌です」


彼女達の回答に校長の顔が歪む…第3ラウンドが今始まる!

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