君の手

君の手が好きだ。

節のやや飛び出た長い指と、その先にある形の整った爪。私より一回りほど大きいが、男性的というよりは女性的なその手が好きだ。

例えば料理をしているとき。

食材を持ち、包丁を扱い、フライパンや鍋を揺する動きは、一つ一つが丁寧だ。その手の動きが好きだ。

例えばピアノを弾いているとき。

優しく鍵盤の上で踊るその指が音を鳴らす。手首から先が別の生命体であるかのように動く。そんな手が好きだ。

例えば私の手と繋いでいるとき。

優しく私の手を包み込むそのあたたかさが好きだ。指と指が離れないように絡むそのつなぎ方が好きだ。


君の手が好きなんだ。

その手は私が好きな君の手なんだ。

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