第9話 反撃!

 チャリン!


 朽木弁太郎はサバイバルナイフを捨てると、両手で美由紀の首を絞めた。

 蜜壷に差し込まれた欲棒がきゅっと締めつけられ、亀頭が花宮口につつみこまれる。


「おおっ、締まる締まる、こいつはたまらねえ!」


 さらに快楽を追うように弁太郎は美由紀の首への圧迫を強めてゆく。


「ぎっ……!」


 気道がふさがれ、美由紀は息ができない。視界が霞む。

 こんなところで立ちバックで犯されながら死んでゆくのかと思うと、自然と両の眼から涙がこぼれでた。

 と、そのとき――


 どすん!


 鈍い衝撃が背中越しに伝わってきた。


 どすん!

 どすん!


 だれかが弁太郎の背中を激しく打ち据えている。

 この音、この叩き方、間違いない。


「がっ!」


 うめき声をあげて、たまらず弁太郎が美由紀から手を離す。

 解放された美由紀は弁太郎の背中、腎臓の辺りをたたきつづけている玲香の姿を見た!


「せ…先輩!」


 城戸玲香は生きていた。死んでなどいなかったのだ。


「き…貴様!」


 苦悶の表情を浮かべて弁太郎が背後を振り返った。

 砂まみれ土まみれの玲香がそこにいる。


「あいにくだったわね。首を絞められ、一時的な酸欠状態に陥っただけ。卑劣な反日犯罪者がいる限り、わたしは死なない。何度でも甦ってみせる!」


「おっ、おのれ――ぐほっ!!」


 玲香は向き直った弁太郎の脇腹にすかさずボディブローをたたきこむと、みぞおちにえぐるようなアッパー、胸部にエルボーを炸裂させた。

 それは日頃、サンドバッグをたたいて鍛えた必殺のコンビネーション攻撃なのだ。


「ぐっ、げはっ!!」


 口から血泡を噴いて弁太郎はよろよろと後ずさると――


 ドボーーン!


 背後の沼に背中から落ち、ごぼごぼと音をたてて沈んでゆくのであった。



    つづく

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