とある女中の憂鬱

 クッソ面倒な手続きを乗り越えれば、多夫多妻が合法だと国から認められるというのがすっかり浸透している昨今。

 それでも一体役所をどう納得させたのか、転職先は全員母親の違う裕福な三人兄弟が一人の女性を妻に迎えていた。

 長男は容姿は申し分ないが、大変気が荒く言葉と同時に手足が出る。濃いグレーの警備会社の社長。妻にチープなコスプレさせては人前でも平気で尻や乳を揉む。

 次男は大手の玩具メーカーの社長。優美な容姿に相応しい温厚な性格をしているが、大卒の妻に対象年齢二桁以下の玩具を与えて人形に着せるような服を着せては喜んでいる。

 三男は高級SMグラブのオーナー。長兄次兄と比べると平凡だがそれは容貌だけの話。兄達のビジネスに的確なアドバイスを授ける程に聡明で、世間と一番帳尻が合っていると思いきや、妻が可愛がっているミニブタやら鳥やらを数日後には食卓に出してしまう。

 接し方は斜め上だが、心身の成長が半端に停滞している妻が愛しくて仕方がないのだろうというのは数日働いていれば把握できた。

 本当に変な家だと、高給に飛び付いた妻の元同級生は内心ため息を吐く。

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