イマジナリー・ガールフレンド

Phantom Cat

プロローグ

 子供の頃、僕には「あおい」という女の子の友だちがいた。


 物心ついた頃から「あおい」はいつも一緒だった。僕は「あおい」と楽しく遊んだ。じゃんけんしたり、しりとりしたり。一番の仲良しだった。


 しかし。


 「あおい」は、僕以外の人間には見えていなかった。


 だけど、僕はリアルに「あおい」の存在を感じていた。顔立ちも、体も、声も、仕草も……まるでそこに居るように実感することが出来た。


 それでも、年齢を重ねる内に「あおい」は僕の前に出てこなくなり、いつしか全く姿を消してしまった。


 それが、いわゆる「イマジナリー・フレンド想像上の友だち」と呼ばれるもので、子供の頃には極めてありがちな現象なのだ、と言うことを知ったのは、僕が中学を卒業する頃だった。


---

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る