衣服

 それから、機織りが言いました。「衣服についてお話しください」

 ムスタファーは答えました。

「あなた方が着ている衣服は、あなた方の美しいところの多くを隠します。ですが美しい箇所以外は隠してくれません。

 あなた方は、隠すことの自由と孤独になる自由を衣服に求めていますが、それにもかかわらず、衣服はあなた方を束縛し、奴隷にするのです。

 あなた方が、工場で製造された服の代わりに、人による手作りの服をまとった状態で太陽と風に向かい合うことができたならば、どんなに良いことでしょうか。

 なぜなら、生命の呼吸は太陽光線の中にあり、生命の手は風の流れと一緒に進んでいくからです。

 あなた方の中にはこのようにいう人もいます。『私たちが身にまとっている衣服は、他でもなく北風こそが織ったものじゃないか』と。

 私はこのように申し上げましょう。ええ、その通りです。北風がそうしたのです。けれども恥が北風の機織り機であり、筋肉のやわらかさが北風の糸です。

 北風が仕事を終えたとき、北風は森の真ん中で吹きすさびながら、あなた方を嘲笑いました。

 ですが、恥じらいとは、よごす人間の眼からあなた方を守ってくれる、堅牢で貫き通すことのできない盾であるということを忘れてはいけません。

 もしもそれらの汚す人間がいなくなったならば、その恥じらいは思考を妨げる枷になり、奴隷状態の泥沼の中にある、思考を汚すよごれになってしまうのではないでしょうか?

 したがって、この大地はあなた方の裸足に触れることを喜んでいて、風はあなた方のまっすぐな髪と遊びたがっているということを、心に留めておきなさい」

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