大自然の美しさと危険さの中で静かに生活する少女の物語。

酷い戦災に巻き込まれて家族を失った少女が、唯一生き残った弟と共に、厳しくも美しい大自然の中で、自分の生きる意味を模索する様に、或いは何かを探し求める様に生活する様子を、淡々と描いた質の高い佳作です。
まずこの物語の舞台となっている自然豊かな「トワトワト」の描写が繊細で緻密で美しく、目に映る景色のキラキラとした光の加減や、足元の感触まで伝わる様で、とても臨場感があります。
同時に物語の主人公である少女・アマリリスが、少し風変わりでありつつも、とても現代的というか、女の子らしい女の子であり、同時にフラフラと危険な場所へ足を踏み入れてしまう危なっかしい様子も、実在感がある様で好感が持てます。
また、作中に登場する「魔族」の少年・アマロックの、危険すぎる気配と妖艶ともいうべき魅力の共存する佇まいが、この現代的な女の子であるアマリリスを惹きつけてしまうという、この二人の距離感も見どころのひとつだと思います。
この魔族の少年・アマロックの、危険な気配と魅力的な佇まいという二面性は、そのままこの作品の舞台となっている広大な自然と合致している様で、それだけにここで生活を続ける少女・アマリリスが、この場所でどう過ごす事になるのか、興味深く見守りたくなります。
美しい自然環境を楽しみながら、アマリリスの冒険と生活を彼女の視点でゆったりと辿る……不思議な魅力に満ちた物語です、読んで損の無い逸品だと思う次第です。
(287話まで読んだ感想です)

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